機械式駐車場メーカー談合から1年

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機械式駐車場メーカー談合から1年

2025年3月の談合処分の概要
公正取引委員会による独占禁止法違反の認定

2025年3月24日、公正取引委員会は機械式駐車装置メーカー7社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定しました。2017年6月頃以降、設置工事の受注業者と受注金額を事前に調整する談合を反復していたことが判明し、排除措置命令と課徴金納付命令が下されました。

課徴金の総額は約5億2,613万円となり、日精(2億6,733万円)、住友重機械搬送システム(1億9,995万円)、新明和工業(5,587万円)、フジパスク(298万円)の4社に納付命令が出されました。日本コンベヤは排除措置命令のみで課徴金は免除され、IHI運搬機械はリーニエンシー(自主申告による減免制度)により処分を免れました。

企業名 課徴金額 処分内容
日精 2億6,733万円 排除措置命令+課徴金
住友重機械搬送システム 1億9,995万円 排除措置命令+課徴金
新明和工業 5,587万円 排除措置命令+課徴金
フジパスク 298万円 排除措置命令+課徴金
日本コンベヤ なし 排除措置命令のみ
IHI運搬機械 なし リーニエンシーで免除
出典:公正取引委員会プレスリリース(2025年3月24日)

各社のその後の対応と事業再編
処分から1年間の動きを時系列で整理

談合処分を受けた各社は、それぞれ異なる対応を取りました。事業売却や株主構成の変更など、業界再編につながる大きな動きが相次いでいます。

日精は、2026年1月14日に筆頭株主がジェイ・ウィル・パートナーズ系ファンドのジェイ・ケイ・オー(JKO)に異動しました。2025年6月には国土交通省から指名停止処分を受けました。

住友重機械搬送システムは、最も厳しい処分を受けた企業の一つです。国土交通省関東地方整備局から建設業法に基づく営業停止処分30日間(2025年9月10日~10月9日)を受けました。さらに2026年1月26日、駐車場事業をIHI運搬機械へ吸収分割により売却することを発表しました。対象事業の売上は約70.9億円、約90名の従業員が移籍予定で、効力発生は2026年11月1日を予定しています。

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新明和工業は、国土交通省近畿地方整備局から営業停止処分30日間(2025年8月26日命令)を受けました。2025年6月には国土交通省から指名停止処分を受けました。さらに同社は別件で特装車(ごみ収集車・ダンプ等)の価格カルテルでも処分を受け、極東開発工業と2社で約59億円の課徴金を課されました。また2026年2月には機械式駐車場の屋根の大臣認定不適合508棟が判明しています。

フジパスクは7社の中で唯一、処分に対して「事実誤認と推察される」との公式声明を発表し、取消訴訟の検討を表明しました。同社は立体駐車場工業会を脱退しています。

業界構造の変化(去る者・追う者)
事業売却とシェア集約が進む機械式駐車場業界

談合事件を契機に、機械式駐車場業界の構造は大きく変化しています。IHI運搬機械が住友重機械搬送システムの駐車場事業を承継することで、国内シェア約4割を占めることになります。

IHI運搬機械は、調査開始前に違反を自主申告したことでリーニエンシーが適用され、処分を免れました。同社は立体駐車場工業会を脱退する一方で、2024年11月に運搬システム事業(クレーン等)をタダノに譲渡し、駐車場事業に経営資源を集中させています。2030年度には売上800億円を目標に掲げています。

動向 企業名 内容
事業売却 住友重機械搬送システム 駐車場事業をIHI運搬機械へ売却
事業拡大 IHI運搬機械 国内シェア約4割へ
業界団体脱退 IHI運搬機械、フジパスク 立体駐車場工業会を脱退
※2026年3月時点の公開情報より作成

立体駐車場工業会の会員構成も変化しています。IHI運搬機械とフジパスクが脱退した一方、新明和工業、日精、住友重機械搬送システムは残留しています。現在の正会員数は25社となっています。

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施設オーナーが把握しておくべきこと
メーカーの動向変化が保守・修繕に与える影響

機械式駐車場を保有する施設オーナーにとって、メーカーの動向変化は保守・修繕計画に直接影響します。自社設備のメーカーがどのような状況にあるのかを把握し、今後の対応を検討することが重要です。

住友重機械搬送システムの駐車場事業がIHI運搬機械に移管される場合、保守契約の引き継ぎや部品供給体制の変更が予想されます。現在同社と保守契約を結んでいる施設は、2026年11月の事業移管に向けて、管理会社を通じて詳細を確認することをお勧めします。

確認ポイント

  • 現在の保守契約先メーカーの事業継続状況
  • 営業停止期間中の緊急対応体制
  • 部品供給やメンテナンス体制の変更有無
  • 複数メーカーの設備がある場合の一括対応可否

メーカー系メンテナンスは自社製品のみ対応となるため、複数メーカーの設備を保有する施設では、独立系メンテナンス会社への相見積もりも検討の余地があります。独立系メンテナンス会社は複数メーカーに対応できることが一般的で、メーカーの動向に左右されにくいメリットがあります。

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また、新明和工業のように屋根の大臣認定不適合が判明したケースもあります。まず管理会社に連絡を取り、自社設備の適合状況を確認することが第一歩です。是正工事の対応と保守契約は別の話ですので、冷静に判断することが大切です。

免責事項:本記事は2026年3月時点の公開情報に基づいて作成されています。最新の情報については、各メーカーの公式発表や所管の行政機関にご確認ください。個別の契約内容や法的判断については、専門家にご相談ください。

出典

営業部 主任(業界リサーチ担当)
この記事の監修者 営業部 主任(業界リサーチ担当)

機械式駐車場業界15年。主要メーカー各社の経営動向・IR情報を常時ウォッチし、業界再編の流れを管理組合様にわかりやすくお伝えすることがモットー。メーカー系・独立系双方での勤務経験から、公平な目線でアドバイスいたします。

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