国交省認定不適合が4,387棟に拡大
— 12社の機械式駐車場で屋根の固定方法に問題
本記事について
本記事は各社の公表情報および報道に基づいてまとめたものです。本件の具体的な技術的範囲(屋根のどの部分が大臣認定の対象か等)については、各社や国交省の公式発表をご確認ください。なお、低層タイプの機械式駐車場(昇降横行式・多段式等)は建築基準法上「工作物」扱いであり、屋根の施工は製造元の施工区分外となるのが一般的です。
2025年10月16日、新明和工業が国交省に対し、同社が供給した機械式立体駐車場508棟の屋根が大臣認定仕様に適合していないことを自主報告しました。これを受けて国交省が他メーカーにも調査を要請した結果、2026年2月24日時点で12社4,387棟に本件が拡大しています。IHI運搬機械、日本ケーブル、日成ビルド工業、住友重機械工業など主要メーカーが相次いで報告し、全国の施設オーナー・管理会社に影響が広がっています。
国交省は各社に対して改修を指示しており、安全上の直接的な危険はないとされていますが、建築基準法上の不適合であるため、早急な是正対応が求められています。山陽新聞、TBS、チューリップテレビなど各メディアも報道を開始し、富山県内31棟をはじめ地方での当該事案も次々と判明しています。
| 時期 | メーカー | 不適合棟数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月 | 新明和工業 | 508棟 | 最初の報告事例 |
| 2026年2月24日 | 12社合計 | 4,387棟 | IHI運搬機械、日本ケーブル、日成ビルド工業、住友重機械工業等 |
| 2026年3月 | 地方への拡大 | 富山県31棟等 | 各地で続々と判明 |
不適合を報告した全12社
2025年10月の新明和工業の自主報告に続き、国交省の調査要請を受けて以下の各社が不適合を報告しています(国交省報道発表 2026年2月24日時点)。
- 新明和工業株式会社(2025年10月 自主報告・508棟)
- IHI運搬機械株式会社
- 日精株式会社
- 日本コンベヤ株式会社
- 富士変速機株式会社
- ダイコー株式会社
- 日本ケーブル株式会社
- 三菱重工機械システム株式会社
- 日成ビルド工業株式会社
- JFEテクノス株式会社
- 株式会社ダイフク
- フジテック株式会社
※上記は国土交通省の報道発表に基づく一覧です。今後さらに追加される可能性があります。
折板屋根の固定方法とは
— 耐火構造における大臣認定仕様からの逸脱
今回の不適合の対象となっているのは、機械式駐車場の耐火構造屋根として使用される「折板屋根」です。当該屋根は、波型に加工された金属板を使用した屋根構造で、軽量かつ高強度という特性から多くの機械式駐車場で採用されています。
国土交通大臣認定仕様では、当該屋根の固定方法について具体的な仕様が定められています。これは耐火性能を確保するための重要な要件ですが、各社の施工において、この固定方法が認定仕様と異なっていたことが判明しました。具体的には、屋根構造を梁に固定する部材(タイトフレーム)の厚さが認定基準の3.2mm以上に対して2.3mmと薄く、溶接ではなくビスで取り付けられていたことが報告されています。
同法では、一定規模以上の建築物の屋根について耐火構造とすることを義務付けており、その仕様は国土交通大臣の認定を受ける必要があります。今回の不適合は、この法的要件を満たしていないという点で問題となっています。
施設オーナーが今すぐ確認すべきこと
— 管理会社・メーカーへの確認手順と対応策
機械式駐車場を所有する施設オーナー・管理会社は、以下の手順で確認を進めてください。
確認の手順
- 管理会社に連絡 — 自物件の駐車場メーカー名・型式・設置年を確認し、今回の不適合に該当するか各社への問い合わせを依頼
- 管理会社がない場合は製造元窓口に直接問い合わせ — 物件情報(型式・設置年・所在地)を伝えて該当確認
- 是正工事のスケジュール確認 — 該当する場合、工事時期や駐車場利用への影響を確認
- 工事完了証明書の取得 — 将来の売却や大規模修繕時に必要となる可能性あり
是正工事の際に検討したいこと
屋根の改修工事では、対応工事の施工方法は各社により異なりますが、工事内容によっては車両をすべて出庫する必要が生じる場合があります。もし全車出庫が必要になった場合は、このタイミングで他の工事もまとめて実施することを検討してもよいかもしれません。
- パレットや鉄骨部分の塗装工事
- 経年劣化した部品交換(チェーン、ワイヤー、センサー類等)
※改修工事の内容・期間によっては同時施工が難しい場合もあります。事前に各社および保守業者にご相談ください。
※建設資材は高騰傾向が続いており、同時施工はコスト面でも有利になる可能性があります。
是正工事の費用負担についてはメーカーに直接ご確認ください。保守契約の有無に関わらず、タワー式駐車場を所有するオーナーは当該企業に直接確認することを推奨します。
なお、本件が報告された物件の中には築年数が相当に古いものも含まれると考えられます。対応工事の対応範囲、費用負担の有無、施工時期については各社の判断により異なる可能性があります。同法上の瑕疵担保責任や時効の問題もあり、すべての物件で同一の対応が得られるとは限りません。具体的な対応については、メーカーおよび管理会社を通じて個別に確認してください。
是正対応の記録管理
— 将来の売買・管理引き継ぎに備える
今回の不適合に対する是正工事は各社側の対応となりますが、施設オーナーとして重要なのは対応の経緯と完了の記録を残すことです。
- メーカーからの通知書・是正工事の完了証明書を保管
- 物件の管理台帳に不適合の発覚日・是正完了日を記録
- 将来の物件売買時やデューデリジェンスで経緯を説明できる状態にしておく
長期修繕計画の中で予算を組むような項目ではありませんが、過去に不適合があり、是正済みであるという事実を管理記録として把握しておくことが、資産管理上重要です。
免責事項:本記事は2026年3月時点の情報に基づいて作成されています。法令の解釈や適用については、必ず所管の行政機関や専門家にご確認ください。個別の設備の状況により対応が異なる場合があります。
出典
- 国土交通省「新明和工業株式会社が供給した自動車車庫の屋根における国土交通大臣認定仕様への不適合について」(2025年10月) 国土交通省
- 国土交通省「自動車車庫の屋根における国土交通大臣認定仕様への不適合について」(2026年2月) 国土交通省
- 日経クロステック「4300棟超に大臣認定不適合、機械式駐車場の屋根 11社が相次ぎ報告」(2026年3月12日)
- LOGISTICS TODAY「機械式立体駐車場屋根で不適合、11社4387棟に拡大」(2026年2月24日)
- 山陽新聞「立体駐車場4387棟が不適合 耐火構造に問題、国交省」(2026年3月23日)
- 日本ケーブル「自動車車庫(機械式立体駐車場)の屋根における国土交通大臣認定仕様への不適合に関するお知らせ」(2026年2月)PDF
- 国土交通省 建築基準法に基づく大臣認定制度
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