地震時の機械式駐車場の使用方法・注意点についてのまとめ

 

こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。

日本は地震が多く、いつどこで大地震が起きてもおかしくない状況です。

マンション管理組合としても、地震が起きた時には被害が大きくならないように適切に対応する必要がありますよね。

特に地震発生時における機械式駐車場の対応は重要で、誤った対処法を行ってしまうと機械損傷や車両の位置ずれなどで二次災害に発展してしまう危険性が高まります。

マンション管理者である理事は利用者の安全を守るためにも、地震が発生した場合の機械式駐車場の対処方法についてしっかりと確認しておく必要があります。

そこで今回は、地震が発生した場合の機械式駐車場の扱い方についてご説明いたします。

いざというときの防災準備としてお役に立てば幸いです。

 

 地震が発生した時の機械式駐車場の使い方と注意点

国土交通省では、機械式駐車設備の安全性をしっかりと保つことができるよう「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」を策定しています。

その中で事故や災害発生時の対応が、以下のように明記されています。

【第二章 機械式駐車設備の適切な維持管理のために管理者がなすべき事項】

第3 事故・災害発生時の対応 

3 .管理者は、事故・災害が原因で機械式駐車設備の安全な運用に影響を及ぼす不具合が発生した場合は、点検及び必要な修理によりその安全性が確認されるまで当該機械式駐車設備の使用を中止するものとする。

 

第4 機械式駐車設備の安全な利用を促すための措置 

1.管理者は、標識の掲示、アナウンス等によって機械式駐車設備の利用者に対してその安全な利用を促す措置を講じるものとする。

 2.管理者は、機械式駐車設備の安全性が確保されていないと判断した場合は、速やかにその使用を中止し、保守点検事業者にその旨連絡するものとする。

その場合にあっては、保守点検事業者は必要な措置を講じるものとする。管理者が自ら保守・点検を行う場合は、 管理者が必要な措置を講じるものとする。

 

国土交通省|機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針より引用)

※ 機械式駐車場における管理者とは

マンションの場合は、一般的には管理組合が該当。

管理者の業務の一部は、管理会社やメンテナンス業者 (=保守点検事業者)に委託 されていることが一般的。
国土交通省|「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」の手引きより引用)

 

国土交通省は、管理者がこの指針に示す内容に留意しつつ、機械式駐車場の適切な維持管理を行うことを目的として策定しているので、地震時においてはマンションの管理組合の迅速な対応が非常に重要になってきます。

 

具体的にどんな行動をとればいいのか?

では実際にどういった対応が必要かをご説明いたします。

地震が発生したタイミングで機械式駐車場付近にいた場合は、すぐに運転を中止して駐車場内および周辺にいる人を安全な場所へ避難させましょう。

大きな揺れが落ち着いたとしても、すぐに車や装置を動かさず、まずは以下の処置を行ってください。

 

社団法人 立体駐車場工業会|機械式駐車装置で地震が発生したらより引用)

 

特に震度5以上の地震の場合には、車両の位置がずれることによって自動車や駐車装置が破損するだけでなく、命に関わる重大事故が起きるなど大きな二次災害に発展する可能性があります。

外観に異常があるなしに関わらず、すぐにメンテナンス業者に連絡し、専門技術者による点検を受けましょう。

その際は電話が混雑したりメンテナンス業者の到着が遅れてしまうことが予想されますが、その場合でも自己判断で機械を作動させることは控えましょう。

運転の再開は、メンテナンス業者の指示に従うようにしてください。

 

もしもの地震のために備えはしっかりと

地震や豪雨などの自然災害が起きてからでは遅いですし、いざというときに慌てないためにも平時に減災対策を行っておくことが重要ですよね。

ではどういった備えをしていけばいいのかを具体的に説明します。

 

すぐ対処できる体制をつくっておく

まず、現状をしっかりと把握しておくことが大切です。

機械式駐車場であれば、

  • メーカー名
  • 製品番号
  • 管理番号
  • 緊急連絡先(メンテナンス業者や契約者)
  • 保守契約の有無(その内容のチェック)

これらの情報をあらかじめ調べてまとめておき、もしもの時にすぐに対応できるよう管理事務室などに保管しておくと良いですね。

地震だけでなく最近では台風による大きな被害や集中豪雨も頻繁に起こるようになってきました。

特に地下にピットがある機械式駐車場の場合、浸水被害が起こる危険性があります。

台風や集中豪雨などで機械式駐車場の地下ピットが浸水しそうになったら、装置の種類によっては安全装置(インターロック)を解除することで車両を同時に複数台上昇させたままにすることができます。

主に昇降式の装置はインターロックを解除することで車の水没を防ぐことができますが、パズル式の装置は構造上、全ての地下段のパレットを上昇させたままにすることが出来ません。

インターロックキーの管理なども管理組合によって管理の仕方が違います。なので、前もってどこに管理されているかをきちんと確認しておきましょう。大抵は管理人やマンション理事が管理している場合が多いです。

台風時の機械式駐車場の注意点と対策について詳しく知りたい方は「台風時の機械式駐車場の注意点と対策について」をぜひご覧ください。

 

マンション総合保険に加入しておく

地震によって機械式駐車場が壊れてしまった場合、修繕積立金から修繕費用を支払うことになりますが、多くの損害が出た場合は修繕積立金だけでは賄えない場合も考えられます。

そんなときのためにマンション総合保険に入っておくのも一つの方法です。

保険会社やプランによって保証範囲が変わるので、機械式駐車場が保証の範囲に入っているか、どのようなケースの時に保険が適応されるのかを確認してみるのが良いでしょう。

 

〈保険料の支出について〉

こちらについては、国土交通省が発表した「マンション標準管理規約」によると防災に関する費用を管理費から支出できることが明記されています。

第27条  管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
五.共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料

国土交通省|マンション標準管理規約より)

ですので、マンションの管理組合が負担する保険料はマンション所有者が毎月負担する管理費などから支払われることになります。

地震が原因で機械式駐車場が損壊した場合はすぐに保険会社に連絡しましょう。その際、損害箇所や状況をしっかりと記録しておいたり、写真を撮っておくなどの対応をしておくとさらに良いですね。

 

最後に

今回は、地震時の機械式駐車場の使用方法と注意点をご説明いたしました。

大きな地震が起きた場合は、車や機械式駐車場はすぐに動かさずメンテナンス業者に連絡し、点検を行い、安全が確認されてから運転再開としましょう。

 

素人の目では分からない箇所で機械の故障が発生しているケースも考えられますので、信頼できる業者にメンテナンスをまかせるようにしましょう。

パーキングドクタープラスではマンション駐車場に関する有益な情報をどんどん発信して参ります。ぜひ、その他の記事も読んでみて下さいね。

 

(参考資料:マンション理事になったらまず読む本)

 

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