こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。
日常生活でマンションにある機械式駐車場を利用している方は多いと思いますが、マンション設備の中で比較的トラブルが発生しやすく、壊れやすい設備ということは意外に知られていません。
また、機械式駐車場にはいくつかタイプがありますが、機械が複雑になるほど故障の発生率も高くなります。機械式駐車場が屋外に設置されていて、雨ざらしになっている場合はなおさらです。
そんな機械式駐車場を安全に、末永く使うことができるよう、点検や修理などを行うのが私たちメンテナンス業者です。
実は、このメンテナンス業者は大きく分けて「メーカー系」と「独立系」の2種類があるのをご存知でしたか?
今回は、その2種類の業者の特徴やメリット・デメリットなどについてお話しします。
メンテナンス業者の種類

機械式駐車場のメンテナンス業者は大きく分けてメーカー系と独立系の2種類があります。
では早速、それぞれの特徴を見ていきましょう。
メーカー系業者の特徴
メーカー系メンテナンス業者とは、機械式駐車場を製造しているメーカーが運営、もしくは正式なメンテナンス請負業者として認定されている系列業者のことを言います。
主に自社が製造している機械式駐車場をメンテナンスするので、機械式駐車場のシステムや仕様、部品や機器の特徴などは、他社よりも詳しいです。
一般的に独立系メンテナンス業者と比べ費用が高めですが、ビル内に設置されている大規模なタワー方式や、地下に車を収納する平面往復方式など、自社製造製品に限ってですが特殊な機械式駐車場も対応が可能です。
主にメーカー系メンテナンス業者は、メーカーの保守部門が運営してます。
・IHI運搬機械株式会社
・新明和工業株式会社
・日精株式会社
・極東開発パーキング株式会社
・日栄インテック株式会社
・株式会社ニッパツパーキングシステムズ
などのメーカー系メンテナンス業者があります。
独立系メンテナンス業者の特徴
独立系メンテナンス業者は、メーカーや技術ノウハウをもった同業他社とのネットワークを持ち、独自のメンテナンスノウハウで業務を行っている業者です。
時にはメーカー系メンテナンス業者から優秀な人材が、独立系メンテナンス業者へ転職するケースもあるようです。
最大の特徴としては、機械式駐車場自体の製造はしていないため、機械式駐車場本体の研究開発費、製造費といった莫大な設備投資に要する費用を、メンテナンス費に転嫁する必要が無いことです。
そのため、費用は純粋にメンテナンスに係る部分のみとなっており、メーカー系メンテナンス業者と比べて安価な場合がほとんどです。
さらに現在では、メーカー系メンテナンス業者に負けない高い技術力を持った、独立系メンテナンス業者も存在しています。
主な独立系メンテナンス業者(五十音順)は、
・大芝産業株式会社
・株式会社エレテックコーポレーション
・株式会社グリーテック
・株式会社早苗パーキングシステム
・サンコー・コミュニティ株式会社
・株式会社ジャパンハイテクサービス
・ダイイチパークシステム株式会社
などなど、全国に多数の独立系メンテナンス業者があります。
メーカー系のメリット・デメリット

それでは、メーカー系メンテナンス業者にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。まずは、メリットからお話しします。
メーカー系メンテナンス業者のメリット
(1)製造メーカーとメンテナンス業者の窓口が一本化されていて手続きの面倒さが少ない。
(2)自社のトラブル事例に対して情報共有が早い。
(3)故障などがあっても基本的に部品の在庫があるため、部品の調達にあまり時間がかからない。(例外としてメーカーの統廃合、部品の製造中止などによって部品が受注生産になってしまい在庫が無い場合もあります)
(4)タワー方式や多層循環方式、昇降横行方式などの各メーカー独自の複雑な構造の機械式駐車場でも、メーカー系なら自社製品の構造を熟知しているため、メンテナンス中のトラブルが少ない。
メーカー系メンテナンス業者のメリットとしては、メーカーならではの安心感や対応力が売りで、複雑な構造の駐車場でも問題なく対応できる強みがあります。
次に、メーカー系メンテナンス業者のデメリットです。
メーカー系メンテナンス業者のデメリット
(1)製造も行っている場合、機械式駐車場本体の研究開発費をメンテナンス費で回収する傾向がある。そのため、メーカー系メンテナンス業者のメンテナンス費は、その分上乗せされた金額になってしまっていることがある。
(2)一部メーカー系メンテナンス業者では説明を求めても数か月返答がなく、コミュニケーションがあまり取れず納得感が少ない。
(3)自社の機械式駐車場には詳しいが、他社の機械式駐車場のメンテナンスはできない。
(4)一部の非上場メーカーの中には、相場とかけ離れた高額な料金を提示するケースがある。
メーカー系メンテナンス業者のデメリットとしては、独立系と比べ価格が高く、コミュニケーションが取り難い面があるようです。
しかし、独立系メンテナンス業者ではメンテナンスできない、大規模な機械式駐車場などの場合は業者の比較自体が難しいため、デメリットを分かっていてもメーカー系メンテナンス業者に頼まなければならない場合もあるようです。
独立系のメリット・デメリット

一方、独立系メンテナンス業者にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
こちらも、メリットからお話しします。
独立系メンテナンス業者のメリット
(1)機械式駐車場本体の研究開発費をメンテナンス費用に転嫁する必要がない。そのため、メーカー系メンテナンス業者よりも低価格でのメンテナンスが可能。
(2)独立系メンテナンス業者は、様々な機械式駐車場の製造メーカーと広く付き合いがあり、
(2)独立系メンテナンス業者は、複数メーカーの機種を取り扱いするため、様々な機械式駐車場の知識が集まりやすい。技術力のある独立系メンテナンス業者であれば、ほとんどのメーカーの機械式駐車場に対応できる。
(3)業者によっては、コミュニケーションが取りやすく要望を細かく伝えられる場合が多い。
(4)汎用部品をサプライヤーから直接部品を調達しコストダウンしている。
こちらは、メーカー系と比べ幅広く様々なメーカーの知識があり、かつメンテナンス費用が比較的安いことが最大の特徴です。
次に、独立系メンテナンス業者のデメリットをお話しします。
独立系メンテナンス業者のデメリット
(1)メーカー責任とメンテナンス責任の窓口が分かれるため、場合によっては依頼先が変わるなど、やらなければならない手続きが多くなることがある。
(2)タワー方式や多層循環方式、昇降横行方式などの構造が複雑な機械式駐車場は、各メーカーが独自の設計で製造しているため、問題が起きたときに技術力の高くない独立系メンテナンス業者では解決が難しいケースもある。
(3)大抵の独立系メンテナンス業者は確保している部品の在庫は少なく、故障などがあったときに必要な部品が無いことがある。こうした場合にはメーカーに部品を注文しなければならず、その分メンテナンスに時間がかかってしまう。
(4)高齢化で廃業する業者が出てきている。
独立系メンテナンス業者のデメリットとしては、部品が無い場合などはメーカーに頼らないと問題解決に時間がかかってしまう場合があります。
また、メンテナンス業者によって技術力がバラバラなので、技術力の低い業者に頼んでしまったときは問題解決が困難になるので注意が必要です。
メリットとデメリットのまとめ
これまでメーカー系と独立系に分けてメリット・デメリットをお話してきましたが、下記に双方のメリット・デメリットを分かりやすく表でまとめてみました。
機械式駐車場のメンテナンス業者を選ぶ際には、ぜひ参考にしてみてください。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
メーカー系 |
・製造メーカーとメンテナンス業者の窓口が一本化されていて手続きの面倒さが少ない。 ・自社のトラブル事例に対して情報共有が早い。 ・故障などがあっても基本的に部品の在庫があるため、部品の調達にあまり時間がかからない。 ・各メーカー独自の複雑な構造の機械式駐車場でも、構造を熟知しているため、メンテナンス中のトラブルが少ない。 |
・製造も行っているため、機械式駐車場本体の研究開発費や製造費といった莫大な費用を、メンテナンス費に転嫁する傾向がある。 ・メーカー系メンテナンス業者に理事会などに出席を求めても断られることがあり、コミュニケーションがあまり取れず納得感が少ない。 ・自社の機械式駐車場には詳しいが、他社の機械式駐車場のメンテナンスはできない。 ・メーカー系メンテナンス業者の中には、メンテナンス業務を下請け業者に二次依頼するケースがあり、その分マージンが余計にかかる。 |
独立系 |
・機械式駐車場の製造を行っていないので、機械式駐車場本体の研究開発費、製造費といった莫大な費用をメンテナンス費用に転嫁する必要がない。 ・独立系メンテナンス業者は、様々な機械式駐車場を扱うため、様々な機械式駐車場の知識が集まりやすい。 ・業者によっては、理事会などに積極的に参加をしてくれて、コミュニケーションが取りやすく要望を細かく伝えられる場合がある。 |
・メーカー責任とメンテナンス責任の窓口が分かれるため、場合によっては依頼先が変わるなど、やらなければならない手続きが多くなることがある。 ・構造が複雑な機械式駐車場は、各メーカーが独自の設計で製造しているため、問題が起きたときに技術力の高くない独立系メンテナンス業者では解決が難しいケースもある。 ・大抵の独立系メンテナンス業者は確保している部品の在庫は少なく、故障などがあったときに必要な部品が無いことがある。 ・社員教育が行き届いていない業者もあり、メンテナンススタッフの技術力にバラツキがある。 |
機械式駐車場のメンテナンス業者まとめ
今回は、2種類あるメンテナンス業者の種類についてお話をしました。
双方ともに一長一短あり、どちらのタイプの業者が向いているかは、状況によって異なります。
また、最近では独立系業者が増えてきましたが、「技術力の高くない業者を選んでしまい結局はメーカー系に戻らざるを得なかった」といった声もあります。
独立系メンテナンス業者に依頼を考えているときは、実績機種や取引先、過去の実績など(施工写真など)を見せてもらうと判断材料の1つになるかもしれません。
機械式駐車場はメンテナンスに多額の費用を必要とする設備ですが、価格だけが判断基準ではありません。
技術力や社員教育など、複数の視点から慎重にメンテナンス業者を選びたいですね。
また、我々パーキングドクターはお客様の状況に合わせて機械式駐車場(タワーパーキング等)のメンテナンス・部品交換・制御プログラム更新・サブリースのご提案などさせていただいております。
お悩みの際はお気軽にお問合せください。

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