え?こんなところも?マンションの共用部分と専有部分について

 

こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。

マンションの設備は、大きく「共用部分」と「専有部分」に分けられます。
しかし、共用部分と専有部分の境目を明確に把握できている人は、なかなかいらっしゃらないのではないでしょうか?

マンション管理をするにあたり、共有部分と専有部分の区別が分かっていないと、トラブルが起きたとき、管理責任をめぐって不要な争いに発展してしまう可能性があるので注意が必要です。

今回は、マンションにおける共用部分と専有部分について、詳しくお話ししたいと思います。

 

マンションは「共用部分」と「専有部分」に分けられる

「共用部分」と「専有部分」

マンションの設備を大きく分けると、区分所有者が独自で利用できる「専有部分」とマンションの住民すべてが利用できる「共用部分」に分けられます。

原則として専有部分は、各部屋の持ち主である区分所有者が管理します。

建物の共用部分と附属施設や敷地に関しては、区分所有者が共有する財産として、マンション管理組合が管理することになっています。

 

マンションの主な共用部分について

マンションの主な共用部分について

区分所有者が、他の所有者と共同で使用する設備を「共用部分」といいます。

共用部分の範囲ですが、マンション標準管理規約 第8条 別表第2において、次のように規定されています。

 

【別表第2】共用部分の範囲

1. エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、 屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎 部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」

2. エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、 テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」

3. 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物

マンション標準管理規約(単棟型)より引用)

 

ちなみに、マンション標準管理規約については、平成28年3月に改正が行われています。

もし、改正前の規約を参考にしている場合は、改正後の規約を一度確認すると良いでしょう。
↓ ↓ ↓
国土交通省 マンション管理について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html

 

専用使用権のある共用部分
専用使用権のある共用部分

共用部分を特定の区分所有者だけが使用できる権利のことを「専用使用権」と言います。

原則として共用部分はマンションの区分所有者すべての人が管理する部分であり、個人が勝手に共用部分を使用することはできないとされていますが、例外として建物の共用部分を独占的に使用できるのが、「専用使用権」というわけです。

<例>
・玄関ドア
・窓枠、窓ガラス
・バルコニー、ベランダ
・駐車場
などなど

玄関ドアと窓枠と窓ガラスは、「専用使用権のある共用部分」です。

玄関ドアの場合は、ドア自体は「専用使用権のある共用部分」ですが、内側の錠と塗装は「専有部分」です。窓枠と窓ガラスも玄関ドアと同じような考えです。

また、バルコニーやベランダは、それぞれの区分所有者の部屋にあるので、専有部分とみなされがちですが、「専用使用権のある共有部分」です。

玄関ドアや窓枠と窓ガラスは、基本的に外側部分が共有部分で、内側部分が専有部分という考え方です。

バルコニーやベランダ

バルコニーは、火災などが発生した場合の避難経路になるため、緊急事態の避難としての機能を妨げる物置など大きなものを設置することはできません。

しかし、それほど大きくないプランターやエアコンの室外機であれば、使用細則によって許可されている場合が多いようです。

そのほか、駐車場も専用使用権の対象となります。

マンション標準管理規約には、このように記載されています。

(バルコニー等の専用使用権)

第14条  区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及 び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承認する。

マンション標準管理規約(単棟型)より引用)

※専有部分と共有部分については、お住いのマンション管理規約によって異なる場合がありますので、一度お住いのマンション管理規約をご確認下さい。

 

マンションの主な専有部分について

マンションの主な専有部分について

専有部分とは、建物の区分所有等に関する法律から引用すると、下記のように定められています。

「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

(建物の区分所有等に関する法律 第二条 3より引用)

 

要するに、マンションで例えると「壁、扉、床、天井に囲まれた空間」のことで、一般的にはドアの内側にある居住空間と考えてください。この空間は区分所有者が独立して利用することができます。

マンション標準管理規約では、玄関ドアの場合は、内側の錠と塗装が専有部分となっています。ドア自体は共用部分になります。(窓枠や窓ガラスも同様です)

マンションの各室は専有部分ですが、専有部分の壁のどこまでが含まれるのか、色々な考えがあるようです。

例えば、
①壁の中心部分までを専有部分とする
②壁や天井などで囲まれた空間を専有部分とする
③壁や天井の表面までを専有部分とする
などです。

このように色々な考え方がありますが、実際の場面で使われるのは、③の「壁や天井の表面までを専有部分とする」という考え方が多いようです。

※専有部分と共用部分の境界をしっかりと把握したい場合は、お住いのマンション管理規約を確認すると良いでしょう。

 

専有部分の修繕やリフォームについて

専有部分の修繕やリフォームについて

分譲マンションの場合、専有部分は区分所有者個人の持ち物ですから、原則として専有部分を修繕やリフォームしたい場合は、区分所有者が自由に行うことができます。

ただし、修繕やリフォームを行ったとき、建物の強度が変わったり、共用部分や他の専有部分に影響を与える可能性も考えられます。

共用部分又は他の専有部分に影響を与える恐れのある修繕を行おうとする時は、理事長からの承認を得る必要があります。(マンション標準管理規約第17条第1項)

【マンション標準管理規約 第17条第1項】

区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。

マンション標準管理規約(単棟型)より引用)

 

<理事長の承認が必要な具体的な例>

・主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置
・ユニットバスの設置
・床フローリング設置
・間取りの変更
・配管等の枝管の取付け
などなど

理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならないとされています。(マンション標準管理規約第17条第3項より)

ここには書かれていませんが、玄関ドアの鍵が壊れてしまって交換する場合なども共有部分が含まれている場所なので、勝手に交換せず、一度理事長に話をした方が良いですね。

 

共用部分の維持管理はマンションの資産価値を保ちます

共用部分の維持管理

専有部分は、区分所有者であるマンション住民自らが維持管理を行います。それに対し、共用部分はマンション管理組合が維持管理を行っていくことになります。

共用部分の日常の管理、点検、清掃、修繕など、これらすべての管理を管理組合だけでやっていくのはなかなか難しいですよね。

実際に、業務の一部やすべてを管理会社や専門業者に委託する場合が多いという現状があります。

しかし、マンションの共用部分がしっかりと維持管理されていると、区分所有者であるマンション住民は、いつまでも快適に住み続けることができます。

それと同時に、マンション自体の資産価値も高く保つことができます。

できる限り共有部分の維持管理をしっかりと行っていきたいですね。

 

機械式駐車場も定期的なメンテナンスが大事

定期的なメンテナンス

ちなみに、マンション敷地内にある機械式駐車場も区分所有者の共用部分に属しており、マンション自体の資産です。

共用部分ということで、マンション管理組合が管理することになりますが、管理組合が自ら機械式駐車場のメンテナンス業務や修繕を行うことは現実的には困難です。

当然ですが、メンテナンス業者に依頼する形となります。

建物は年月が経てば経つほど劣化していきます。それはエレベーターや機械式駐車場など日常的に使う機械も同様です。

しかし、定期的にメンテナンスや修繕工事を行えば、利用者の安全を確保することはもちろん、機械式駐車場の寿命を延ばし、美観を損ねることなく、マンション自体の資産価値を下げずに済みます。

 

まとめ

マンションの共用部分と専有部分、それぞれの範囲や管理について、ご理解いただけたでしょうか。

原則として、専有部分は各区分所有者が管理し、マンションの共用部分は区分所有者が快適に過ごせるよう、管理組合が責任を持って維持管理していかなくてはなりません。

また、玄関ドアや窓枠など、共有部分と専有部分が混在している箇所もあります。

これについては、お住いのマンションによって変わる場合があり、まずはお住いのマンション管理規約を確認することをおすすめします。

そして、機械式駐車場も管理組合の管理する共有部分の範囲内です。

共用部分のメンテナンスが、きちんと行き届いているかどうかによってマンションの資産価値も変わってきます。

もし、現状の機械式駐車場のメンテナンスにご不満がある場合は、別の業者に一度セカンドオピニオン的に見てもらうのも1つの方法です。

ぜひ、検討してみてはいかがでしょうか?

 

【参考文献】
・マンション標準管理規約(単棟型)
・マンション管理の法律とトラブル解決マニュアル
・マンションの理事になったらこの1冊
・マンション理事になったらまず読む本
(順不同)

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