修繕部品の大まかな種類について解説~駆動部品・その他編~

 

こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。

マンション管理において、機械式駐車場を安全に、かつ末永く使用できるように維持管理していくためには、保守点検や修繕をメンテナンス業者に依頼する必要があります。

機械式駐車場のメンテナンスの必要性や、保守契約については「機械式駐車場の保守契約(1)POGとフルメンテナンスの違い」でご紹介しました。

しかし実際、私たちメンテナンス業者が「普段機械式駐車場のどんなところを修繕しているのか」「どんなところを見れば不具合が分かるのか」といった点が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ですので今回は、機械式駐車場の故障や事故を防ぎ、利用者のみなさんに安心安全にお使いいただけるよう、普段私たちがどういった部品をメンテナンスしているかを、1つずつご紹介していきます。

こちらでは駆動部品とその他の修繕についてご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

 

モーター類の修繕について

まず初めにご紹介する部品は、装置の動力を発生させるためのモーター類です。

モーターに不具合が発生している場合、

  • モーターから異音がする
  • 潤滑油の漏れ
  • 停止するときに、すぐに停止せずに滑るようになる

などの兆候がメンテナンス時に分かる場合があります。

そのまま放置してしまうと、モーター内のギアがすり減ってブレーキ部分が摩耗するなどの劣化が進行し、最終的には「パレットが落下する」「発熱して動かなくなってしまう」などの重大事故につながるリスクがあります。

機械式駐車場のモーターには、

  • 「昇降式」などのパレットを上下に動かすためのモーター
  • 「昇降横行式」などのパレットを上下、左右に動かすためのモーター
  • ゲート(シャッター)を上下に動かすためのモーター

など、役割によって様々なモーターが使用されています。

 

故障した際はすぐに部品交換が出来ればよいですが、部品納期の関係からすぐに交換出来ないこともあります。そうすると、交換されるまで装置の使用が出来なくなってしまいます。

実は同じモーターと言っても、駐車装置の型式やモーターの種類によって使用停止になる影響範囲にも差がありますので、修繕工事の優先度にも影響が出てきます。

モーター故障時に使用停止となってしまう範囲や修繕の優先度については、保守をお任せするメンテナンス業者に聞いてみるとよいでしょう。

 

チェーン・ワイヤー類の修繕について

続いてご紹介する部品は、車を載せたパレットを吊り上げるためのチェーン・ワイヤー類です。

チェーンが劣化すると、錆が発生したり、チェーンがよれて固まってしまうキンクと呼ばれる状態が見受けられるなどのケースがありますが、なかには錆やキンクが見受けられないチェーンでも、内部で金属疲労を起こしていて、本来の強度ではなくなっているものもあります。

ワイヤーが劣化すると、構成している素線(細い鋼線)の一部が切れてくるなどの症状がみられます。素線切れが発生すると、残った素線1本あたりにかかってくる荷重が増え、加速度的に劣化が進んでしまいます。

これらの劣化状況をそのまま放置してしまうと、最終的にはチェーンやワイヤーが破断してパレットが落下してしまい、命にも関わる重大事故が発生してしまう可能性があります。

パレットが落下すると、車や装置、複数のパレットの破損などが発生してしまう恐れがあります。そうすると機械式駐車場の種類や不具合の内容によっては重機を使用した大がかりな工事が必要になるなど、復旧するまでに多くの時間や費用がかかり、甚大な損害が発生してしまいます。

よって不具合発生時の被害の大きさや、点検時に劣化状況を正確に判断しきれない場合があることも踏まえ、使用年数を根拠に交換することが推奨されることが多いです。

交換すべき推奨年数を含む修繕計画については、重大事故を防ぐためにも、信頼できる保守業者と保守契約し、相談するようにしましょう。

 

スプロケット類の修繕について

続いてご紹介する部品は、チェーン・ワイヤーを円滑に動かす役割をもつスプロケット(歯車)・シーブ(滑車)類です。一般にチェーンにはスプロケット、ワイヤーにはシーブを使用します。

スプロケット・シーブに不具合が発生すると、操作時に該当部分のチェーンやワイヤーが円滑に動かなくなる可能性があります

そうなってしまうと、不具合箇所以外は動いたままなので円滑に動かない不具合箇所も無理矢理動かそうとする状態になり、パレットの傾きが発生したり、最悪の場合チェーン・ワイヤーが破断してパレットが落下するなどの重大事故につながってしまいます。

スプロケット・シーブの交換は、基本的にチェーン・ワイヤーの交換とセットで交換することが多いです。

チェーン・ワイヤーだけの交換、もしくはスプロケット・シーブだけの交換は、工事工程が被っているために二重に工事費がかかってしまいますので、どちらかが不具合が発生した場合にはセットで交換した方が良いか、修繕をお任せする保守業者に相談してみるとよいでしょう。

 

横行車輪の修繕について

続いてご紹介する部品は、パレットを横に動かすための横行車輪です。

横行車輪は、年数の経過や使用回数の増加により、車輪とレールの接触・摩耗や車輪内部と軸との接触・摩耗が進行して、車輪の動きにがたつきが生じてきます。

車輪にがたつきがあるまま放置してしまうと、最悪の場合

  • レールからの脱輪や軸の破損が発生して、車やパレットが落下してしまう
  • 横行動作に支障が出て、パレットが斜めになったり、装置が停止してしまう

といった重大事故が発生してしまいます。

 

こういった重大事故は多大な費用がかかったり、人身事故につながる危険性も十分に考えられますので、定期的な保守点検と計画的な修繕をしっかり行うことが重要です。

 

その他の部品について

最後に、その他でご紹介したい修繕箇所が2つあります。

 

1つ目は、装置に貼られているシールや看板などの銘版です。

使用方法や収容寸法などが記載されていて、機械式駐車場が置かれている場所によって劣化状況は異なりますが、潮風の影響や直射日光の影響などで早く劣化する場合が多いです。

シールの剥がれや看板の錆などは、利用者が使用方法を誤った方法で動かしてしまったり、収容できない大きさの車を停めようとして破損させてしまったりと、事故につながりかねません。

場合によっては管理組合に責任が問われる可能性もありますので、あまり軽視せず、不具合があった場合にはメンテナンス業者に修繕を依頼するとよいでしょう。

 

2つ目は、パレットの塗装です。

機械式駐車場は、錆が発生して進行すると最終的には穴が開いてしまい、利用者の方が足で踏み抜いてしまったり、タイヤが落ちてしまうなどの危険があります。

また、穴が開いていると錆汁が機械式駐車場の階下の車に滴り落ちている可能性もあります。恒常的に滴り落ちた錆汁は、洗車では落ちなくなってしまうこともあるので、トラブルの元にもなってしまいます。

通常、機械式駐車場の塗装は約5年に1回の周期で再塗装が目安になりますが、機械式駐車場が置かれている場所によって錆の進行状況も変わってきます。

穴が開くまで放置してしまうと、穴を埋めるには鉄板を溶接するなど追加で補修をする必要があり、その分追加で費用もかかってしまいますので、塗装の剥げや錆が発生しているのが見受けられる場合には、早急にメンテナンス業者に相談することをおすすめします。

また、2~3年で塗装が剥がれ始めてしまったら、それは以前の塗装が適切に行われていなかった可能性があります。一度、セカンドオピニオン的に別の業者に機械式駐車場を見てもらうことをオススメします。

 

最後に

機械式駐車場における駆動部品の大まかな種類についてご紹介しましたが、修繕を行う場合には、ほとんどの場合、車の移動が必要になってきます。

機械式駐車場の保守契約(1)POGとフルメンテナンスの違いでも「予防保全」と「事後保全」という修繕の考え方についてご紹介しました。

部品の故障が発生したら交換する「事後保全」の考えに基づいて修繕を行っていく場合には、部品が故障したらその都度車を移動させ、修繕を行う必要があります。また、不具合の内容によっては、不測の費用が発生する恐れもあります。

「予防保全」で計画的に全ての修繕を行っていく場合には、コストを安く抑えることは難しいですが、不測の費用が発生することを避けると共に、車の移動は1度で済むといったメリットもあります。

機械式駐車場の状況や時期によって予算も異なってきますので、修繕の考え方についてはメンテナンス業者とよく相談して決めるとよいでしょう。

また、電装部品の修繕については「修繕部品の大まかな種類について解説~電装部品編~」でご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

 

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