機械式駐車場の鋼製平面化の手順とメリット・デメリットについて

 

こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。

マンション管理において、利用率が下がっていたり、リニューアルの時期を迎えている機械式駐車場をどうするかで悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

実際、機械式駐車場の空きが増えるといった問題が増えていて、管理費用の負担を減らすにはどうしたらよいのか、マンションの管理組合などで悩まれている方も多いです。

そんな時、機械式駐車場を解体し平面式駐車場にリニューアルをすることで、のちの維持費をコストダウンさせるという方法も選択肢のうちの一つです。

機械式駐車場を平面化するには2種類の方法があります。(平面化の概要については『機械式駐車場の解体・平面化の種類とメリットデメリットについて』をご覧ください)

今回は、そのうちの一つである、機械式駐車場の鋼製平面化の手順とメリット・デメリットについてまとめてみました。あなたがお住まいのマンション駐車場に当てはまるかどうか、ぜひ確認しながらご覧ください。

 

機械式駐車場の鋼製平面化の主な手順

機械式駐車場の鋼製平面化の主な手順

では早速、機械式駐車場の鋼製平面化の手順についてお話しします。
鋼製平面化の主な手順については以下の通りです。

 

鋼製平面化の主な手順

(1)機械式駐車場の電力供給の遮断を行う。

(2)重機や手壊しにより、機械式駐車場の解体を行う。

(3)解体したものを撤去し、搬出する。

(4)車を格納しておくための地下スペースだったピットをそのまま残し、軽量の鉄骨の柱や梁を組み立てる。

(5)その上に鋼製の床板を設置する。

以上が鋼製平面化の主な手順となります。

鋼製の床板を設置したあとは、平置きの駐車場以外に、駐輪場やバイク置場など別の用途にも使用することができます。

駐車場以外の用途で使う場合は、車を持っていないマンション住民の方も使えるようになるのがうれしいですね。

 

鋼製平面化のメリット

鋼製平面化のメリット

機械式駐車場を平面化する方法は、鋼製平面化の他に「埋め戻し」という方法がありますが、ここでは埋め戻しによる平面化と鋼製平面化を比べた場合のメリットをお話しします。

埋め戻しについては、詳しくは『機械式駐車場の埋め戻しの手順とメリット・デメリットについて』をご覧ください。

 

鋼製平面化のメリット

(1)場所を問わず施工できる

建物の地下や屋内の機械式駐車場や、埋め戻すとマンションなどの建物の構造に影響が及ぶ恐れのある機械式駐車場、砕石の重量に耐え切れず地盤沈下する恐れがある機械式駐車場などは、埋め戻しによる平面化は非常に困難です。

そういった場合は、重い砕石を埋め戻す工法よりも、軽量で地盤に負荷がかかりにくい鋼製の床板による平面化が選ばれています。

 

(2)鋼製平面化した後に、再び機械式駐車場の設置が可能

これは極めて稀なケースですが、将来的に駐車場の需要が増え、収容できる車の台数を増やすため再び機械式駐車場を導入しようとした際に、埋め戻しによる平面化をしてしまうと機械式駐車場の設置費用は割高になり、工程も非常に困難なものとなります。

鋼製平面化を選んだ場合、その後の解体や撤去も短期間でスムーズにできます。

 

(※補足事項)

「ピット内の空間を倉庫等に有効活用したい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、これについては建築基準法や消防法の規制を受ける可能性があるため、専門的な事前検討が必要です。

 

機械式駐車場からの平面化による、利用者にとってのメリットは『機械式駐車場の解体・平面化の種類とメリット・デメリットについて』でもご紹介しましたが、

・高さ制限などで停めることができなかった大きな車両も駐車させることができるようになる
・段差がなく体の不自由な方でも車の乗り降りがしやすくなる
・駐輪場やバイク置場など別の用途にも使用できるようになる

などなど、今までマンション駐車場を利用していなかったマンション住民の方にとっても、たくさんのメリットがあります。

 

鋼製平面化のデメリット

一方、鋼製平面化のデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
以下に鋼製平面化によるデメリットをまとめてみました。

 

鋼製平面化のデメリット

(1)費用が割高になる傾向がある

鋼製平面化の費用は、埋め戻しによる平面化よりも割高になる傾向があります。

特に、屋内や地下、また駐車場の前面車路が狭いなどの機械式駐車場だと、解体や撤去・設置が難しいため、その分費用がかかります。

 

(2)排水施設等のメンテナンスは今後も必要

機械式駐車場から鋼製平面化したあとは、定期点検や修繕などのメンテナンスは必要がなくなる場合が多いですが、使用状況によっては床板の塗装など、今後もメンテナンスが必要になる場合があります。

鋼製平面化以降メンテナンスが必要かどうかは、前もって業者にきちんと確認をしておくと良いでしょう。

また、地下の排水施設は機械式駐車場の時と同様、定期的にメンテナンスが必要です。大雨による浸水被害のリスクもあるので、メンテナンス業者に定期点検を依頼しましょう。

 

(3)床板によっては重量制限がある

平面化することで、機械式駐車場には停められなかったハイルーフ車などの大きな車両も停められるようになります。ただし、床板によっては重量制限がある場合があります。

車両総重量が2.5トンまでが最大となる場合が多く、荷重があるトラックやワゴン車などは停められないことがあるので注意が必要です。

また、積載重量を増やすことが出来るかどうかは、施工業者に問い合わせてみるのも良いでしょう。

 

鋼製平面化ができる場合とできない場合

鋼製平面化ができる場合とできない場合

鋼製平面化は、埋め戻しによる平面化ができないと判断された機械式駐車場でも、施工可能なことがほとんどです。

ただし自治体によっては、駐車場法に基づき、「駐車場の附置義務」という条例が定められているところもあります。

 

駐車場の附置義務とは?

これは、過去に都心部等で駐車場不足が問題となったことで制定されたもので、大規模な商業施設やマンションを新設する際には、収容できる駐車台数を一定数設けることを義務付けるとした条例で、お住まいのマンションによっては、この附置義務駐車場に当てはまる可能性があります。

機械式駐車場を平面化することで収容できる駐車台数を減らしてしまうと、この附置義務の条例に違反してしまうおそれがあります。

しかし、平面化することで附置義務に違反してしまう場合でも、最近では車を所有する人が減少している傾向もあることから、国土交通省でも附置義務条例の見直しが図られていて、特例として平面化を認める動きが各自治体で見られています。

まずは機械式駐車場を平面化できるかどうか、お住まいの自治体に附置義務について問い合わせ、調べてみると良いでしょう。

 

機械式駐車場の鋼製平面化の手順とメリット・デメリットまとめ

機械式駐車場の鋼製平面化の手順とメリット・デメリットまとめ

マンション管理において、機械式駐車場の維持については非常に悩みの種であることが多いと思います。

今の機械式駐車場を撤去し、鋼製平面化による平面化をお考えでしたら、お住まいの自治体に附置義務について問い合わせ、鋼製平面化のメリットやデメリットを充分理解したうえで検討しましょう。

そして、マンション住民の多くの方が利用できる駐車場になれば、きっとマンション住民の方々に喜んでもらえるに違いありません。

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