台風シーズン到来!機械式駐車場の注意点と台風対策とは

台風による機械式駐車場への被害リスクはあらかじめ把握しておく必要があるでしょう。強風による倒壊や飛来物によるリスクのほか、特に冠水や浸水には注意しなければなりません。

本記事では、台風による機械式駐車場への被害リスクや対策、台風接近時の注意点を紹介しています。台風による被害を最小限に抑え、安全に駐車場を利用できるようにするためにも、機械式駐車場を管理している方は参考にしてみてください。

台風による機械式駐車場への被害はどれくらいある?

台風による機械式駐車場への具体的な被害として次の内容が挙げられます。

  • 強風による部品破損
  • 豪雨による浸水、漏電
  • 飛来物による損傷
  • 過去の台風被害事例を紹介

それぞれの詳細をみていきましょう。

強風による部品破損

機械式駐車場では、部品破損には特に注意しなければなりません。部品破損が原因で機械式駐車場のパレットが傾いた場合、停車中の車両に多大な損害を与えるだけでなく、万が一その場に人がいれば、死亡事故につながる可能性もあるでしょう。

台風時には部品破損のリスクがさらに高まり、特に強風によって劣化した部品が外れたり、破損したりすることで、事故の危険性が一層増大しかねません。

このようなリスクを軽減するためには、日常的なメンテナンスや点検が不可欠です。定期的な点検により、劣化部分を早期に発見し、適切な修理を行うことが台風時の安全確保に直結します。

また、メーカーから利用可能な風速の条件があるため、使用条件を確認し適切な利用を厳守することが重要です。

豪雨による浸水、漏電

浸水と漏電のリスクには注意が必要です。浸水が発生すると、駐車場内の電気機器が水に浸かり、感電や火災のリスクが急増します。

まず安全確保を最優先に考えたうえで、浸水が確認された場合は電源を遮断し、早急に点検業者に連絡をとりましょう。電源遮断方法がわからない場合は、すぐに点検業者に連絡することが重要です。

業者到着までは当該区域に人が立ち入らないよう、カラーコーンなどで立ち入り禁止処置を実施しましょう。

さらに、浸水によって機械式駐車場の多くの部品が破損する可能性があります。特に、電子部品や制御装置など、水に弱い部分が損傷を受けることで、駐車場全体の運用に影響を与えかねません。一度冠水したチェーンは基本的には交換が必要です。

また、浸水状態が長時間続くと、機械式駐車場の構造そのものにも影響を与え、修理が必要になることもあるでしょう。

浸水後には、まず湿気を徹底的に除去することが重要です。湿気が残っていると、機械システムだけでなく、停車中の車両にも錆やカビなどの悪影響を及ぼします。

飛来物による損傷

台風時には、強風によって周辺の看板や屋根などが飛ばされ、機械式駐車場や停車中の車両に飛来して損傷を与えかねません。特に、壁やフェンスなどの遮蔽物がない場合、飛来物による事故を防ぐことが難しくなります。

また、古い建物や工事現場が近くにある場合は、台風時に部材が飛散する可能性が高く、注意しなければなりません。

青空駐車場と比較すると、機械式駐車場は比較的安全ではありますが、それでも強風時には十分な注意が必要です。事前に周囲の状況を確認し、腐っている樹木などは伐採するなどリスクを最小限に抑えるための対策をとりましょう。

過去の台風被害事例を紹介

異常気象による集中豪雨や頻発する台風の上陸により、機械式駐車場が冠水する被害が増えています。

過去には、台風による大雨で駐車場が冠水し、33台の車両のうち22台が完全に水没した事例がありました。駐車場冠水による被害にあった車両のオーナーは、駐車場管理会社に責任の所在を問うこともあるため注意が必要です。

また、冠水の影響は車両だけでなく、機械式駐車場自体にも及びます。電装部品やチェーンなどの機械部品が損傷し、修理が必要となることもあるでしょう。

さらに、泥や流着物がエントランスを汚染し、消毒や片付け作業も必要です。今回紹介した事例では、雨水がピットから排水されず、中段と下段に停車していた車両に大きな影響を及ぼしました。被害を防ぐためには、日頃のメンテナンスと、台風にそなえた事前の準備や対策が欠かせません。

台風対策

台風への対策は機械式駐車場を管理するにあたって重要な内容です。対策として次の内容が挙げられます。

  • 強風対策
  • 冠水・浸水対策
  • 飛来物対策
  • 管理会社・オーナー向け台風対策マニュアル

それぞれの内容を把握し、対策に不備のある場合はすぐにでも対処しましょう。

強風対策

強風が予想される場合、入庫している車両に影響があることをあらかじめ利用者にアナウンスしておきましょう。強風によってどのような影響があるのかを丁寧に説明し、利用者の了承を得ておくことで、トラブルを未然に防げます。

強風によって駐車装置の錆やチェーン潤滑油が散乱し、車両を汚損する可能性があるため、定期的な点検とメンテナンスを行い、日頃からリスクを減少させることも大切です。

台風が接近している場合には、風速がどの程度になったら駐車場を停止するか、明確な基準を設定しておきましょう。製造メーカーから使用禁止基準がでていますので、厳守することがとても重要です。基準が曖昧だと判断が難しくなり、適切なタイミングで駐車場利用を制限できないまま、トラブルに発展するリスクがあります。

冠水・浸水対策

排水環境を確認し、定期的なメンテナンスを行うことが必要です。排水口に落ち葉やゴミが詰まっていないか、排水が正常に行われているかを定期的に確認することで、台風の大雨時に排水機能が最大限に効果を発揮します。

また、大雨が予測される場合には、駐車場が冠水する可能性を考慮し、車両をあらかじめ別の安全な場所に移動させる対策も重要です。水害対策運転機能が付帯している装置もありますので、あらかじめ点検業者に水害想定時の確認をお勧めいたします。地下に駐車している場合、早めの移動が浸水被害を避けるために有効となるでしょう。

土嚢を用意しておくことも効果的な対策です。土嚢を設置することで、一定程度の浸水を防ぎ、駐車場内への水の流入を抑えられます。冠水・浸水の被害は甚大となる可能性もあるため、事前の準備を怠らずに台風時の被害を最小限に抑えましょう。

飛来物対策

台風によって周囲から飛散した物が機械式駐車場に衝突すると、設備の故障や利用者とのトラブルの原因になる可能性があります。そのため、台風が接近することが予測される場合には、駐車場の周囲に飛散しやすい物を置かないようにするなどの基本的な対策を講じることが必要です。

台風によって枝やゴミなどが駐車場内に散乱し、それが駐車場の内部に入り込むことで、機械の正常な作動を妨げ、故障を引き起こすリスクもあります。対策として、台風が去った後には、機械式駐車場の装置内に飛散物が残っていないかを必ず確認し、必要に応じて清掃を行いましょう。

台風が予測される事前対策と、台風が去った後の対策を徹底することで、強風による事故や故障を未然に防げます。

管理会社・オーナー向け台風対策マニュアル

台風による被害で利用者の車両に損害が生じた場合、管理会社に対して賠償請求が行われることもあるため注意が必要です。管理者が日常的なメンテナンスを怠っていたり、台風が予測されるタイミングで事前のアナウンスや利用制限を行わなかったりした場合、管理会社は法的に不利な立場に置かれる可能性があります。

トラブルが起こってからでは遅く、トラブルが起こる前に対処法を教育するためにも管理会社・オーナー向けの台風対策マニュアルは欠かせません。マニュアルには、チェックすべきポイント、台風が接近する際の事前準備、そして予想を超える冠水が発生した場合の適切な処置など、さまざまな内容を含める必要があります。

トラブルを事前に防ぐことだけではなく、トラブルが起こらないようにどれだけ対策をとっていたかが重要です。マニュアルの事前共有は、リスク管理の一環として必須の対策となるでしょう。

台風接近時の注意点

台風接近時に注意しなければならないポイントを紹介します。

  • 利用者への注意喚起
  • 機械式駐車場の使用中止判断
  • 被害状況の確認と報告

あらかじめ理解しておくことで、実際に台風が来た際に適切な対応を取れます。内容を詳しくみていきましょう。

利用者への注意喚起

利用者に対する事前の注意喚起が必要です。駐車場として台風接近時にどのような対処を取るのか、利用者に理解してもらわなければなりません。

強風や大雨が一定の基準を超えた場合、駐車場の使用を中止する措置を取ることがあるため、その基準を具体的に示しておきましょう。また、使用再開がどのような条件で行われるのかも合わせて通知し、利用者に不安を与えないように配慮します。

さらに、使用中止とならない条件でも、利用者に対する注意喚起自体は常に行いましょう。強風によって機械や車両がどのような被害を受ける可能性があるのか、また、予期せぬ事態で冠水が発生した際の対応も、利用者にあらかじめ説明しておくことで、トラブル発生時の混乱を防げます。

また、事前にしっかりと注意喚起を行うことは、万が一のトラブル発生時にも責任を一方的に押し付けられることを防ぐ効果もあるでしょう。

機械式駐車場の使用中止判断

台風接近時での機械式駐車場の使用中止判断は、数値で明確に定義しておきましょう。個人の裁量に任せると、判断に迷いが生じ、結果としてトラブルの原因となる可能性があります。

さらに、天気予報で風速が15メートルと予測されていても、突発的にそれ以上の風が吹くことにも注意が必要です。日本では突風率が1.5倍〜2倍程度に達することもあるといわれています。

大雨に対しても、強風と同様に余裕を持った数値の定義が求められます。予測される条件を超えた場合にそなえ、適切な判断基準を設けることで、安全性を確保することが可能です。

出典:気象庁/気象観測ガイドブック

被害状況の確認と報告

台風が通過した後の機械式駐車場の運転には特に注意が必要です。強風により装置内に飛散物が残っている場合、飛散物が原因で異常が発生する恐れがあります。また、雨水が浸入して機械の一部が破損している可能性もあるため、事前の確認が欠かせません。

台風通過後、装置に少しでも異常、普段と違う違和感などある場合は点検業者に連絡し、確認してもらいましょう。

運転を開始する際には、すぐに非常停止ボタンが押せる状態で装置を使用することが重要です。台風後しばらくは、装置が万全な状態で作動しているか、常に異常が起こる可能性を念頭に置いて運用する必要があります。

また、台風通過後にどのような確認をすべきかチェックリストを作成し、報告する仕組み作りも重要となるでしょう。誰が点検にあたっても見落としがないようにすることが必要です。

被害状況の確認と報告を仕組み化することで、万が一のトラブルを未然に防ぎ、安全な運転を確保できるでしょう。

台風時期は特に注意して機械式駐車場を運営しよう

今回の記事では、台風への機械式駐車場としての影響や対策を解説しました。台風による機械式駐車場ヘの具体的な被害として、強風によるシステム自体への被害や飛来物による被害が挙げられます。また、豪雨による浸水や漏電は甚大な被害となる可能性があるため注意が必要です。

また、実際に起きた被害事例として大雨で駐車場が冠水し停車していた車両に被害があったケースもあるため注意しなければなりません。

台風対策として、4つの方法を紹介しているため、機械式駐車場の管理を行う方は参考にしてみてください。

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