機械式駐車場の埋め戻しの手順とメリット・デメリットについて

 

こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。

マンション管理において、利用率が下がっていたり、リニューアルの時期を迎えている機械式駐車場をどうするかで悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

実際、機械式駐車場の空きが増えるといった問題が増えていて、管理費用の負担を減らすにはどうしたらよいのか、マンションの管理組合などで悩まれている方も多いです。

そんな時、機械式駐車場を解体し平面式駐車場にリニューアルをすることで、のちの維持費をコストダウンさせるという方法も選択肢のうちの一つです。

機械式駐車場を平面化するには2種類の方法があります。(平面化の概要については『機械式駐車場の解体・平面化について』をご覧ください)

今回は、そのうちの一つである、機械式駐車場の埋め戻しの手順とメリット・デメリットについてまとめてみました。あなたがお住まいのマンション駐車場に当てはまるかどうか、ぜひ確認しながらご覧ください。

 

機械式駐車場の埋め戻しの主な手順

それでは早速、機械式駐車場の埋め戻しの主な手順についてお話しします。
機械式駐車場の埋め戻しの主な手順については以下の通りです。

 

埋め戻しの主な手順

(1)機械式駐車場の電力供給の遮断を行う。

(2)重機や手壊しにより、機械式駐車場の解体を行う。

(3)解体したものを撤去し、搬出する。

(4)排水設備(ポンプ等)を撤去し、搬出する。

(5)砕石で埋め戻す。

(6)アスファルトやコンクリート等で舗装する。

 

以上が機械式駐車場を埋め戻す際の主な手順になりますが、(5)の砕石で埋め戻す際の方法は2通りあり、お住いのマンションにより異なります。

 

ピットを残した状態で埋め戻す方法

一つ目は、ピットを残した状態のまま砕石で埋め戻す方法です。

ピットとは、機械式駐車場において車を格納しておくための地下スペースのことです。平面化の際は、空になったピットを砕石で埋め戻す必要があります。

ピットを残した状態のまま砕石で埋め戻す際には、周辺土壌の水位をあらかじめ確認しておき、水抜きのための穴をあけるかどうか検討して埋め戻し施工をします。

ピットのコンクリートが埋め戻した後も残り、水位の影響を受けるので浮き上がってきて路面を隆起させたり、反対に陥没させたりする可能性があります。また、大きな地震が起きた際にも同様の被害が想定されます。

どんなに検討を重ねても、この工法の場合、デメリットを完全に排除することが難しい場合もありますが、ピットのコンクリートの破壊撤去費用がかからないため、安価に施工することが出来るのが大きなメリットです。

また、現在ほとんどの埋め戻しの場合、この工法が選択されています。

 

ピットを解体・撤去してから埋め戻す方法

二つ目は、ピットを解体・撤去をしてから砕石で埋め戻す方法です。

こちらの方法だとピット自体の解体・撤去の工程がある分、費用もかかり工期も長くなります。しかし、地盤のトラブルを回避できる可能性が高いので、より安全な工法です。

 

(5)のアスファルト舗装とコンクリート舗装についてですが、アスファルト舗装の方が安価で工期も短いのが特徴です。

一方、コンクリート舗装は工期が長くなりますが、アスファルトに比べて水の浸透性が低く耐久性が高いものになります。

ただし、アスファルトの中には雨水の浸透性を高める種類のものもありますが、石粒がはがれやすいです。車両の入出庫時にタイヤと石粒を巻き込み鋼製平面を傷つける場合もありますので、出来るだけ避けましょう。

 

埋め戻しのメリット

機械式駐車場の平面化の方法では、埋め戻しの他に、「鋼製平面化」という方法がありますが、機械式駐車場の埋め戻しは鋼製平面化と比較すると、ピットを残して埋め戻す場合には安価に平面化できる場合があるようです。

(鋼製平面化については『機械式駐車場の鋼製平面化の手順とメリット・デメリットについて』をご覧ください)

そして、埋め戻しは平面化してからのメンテナンスが軽減され、修繕費のコストダウンや管理者の負担を減らすことができます。(※アスファルトの場合は10年前後で劣化してきますので、補修が発生します。)

今まで高さ制限などで停めることができなかった大きな車両も、機械式駐車場を平面化することで駐車させることができ、アスファルトやコンクリートで舗装するので、段差がなく体の不自由な方でも車を使いやすい音が静かである等、マンション駐車場の利用者だけに留まらず、マンション駐車場を利用していない住民の方にとってもメリットがあります。

 

埋め戻しのデメリット

一方、埋め戻しのデメリットはどんなものがあるのでしょうか?

機械式駐車場を解体・撤去したあと、砕石で地下スペースを埋め戻しますが、その重さはかなりの重量となります。

機械式駐車場の元の大きさにもよりますが、ピットをそのまま残して砕石で埋め戻す際、ピット自体が砕石の重さに耐え切れるかどうかを調べる必要があります。

埋め戻しによる平面化が割安だったとしても、費用を優先して選ぶことはできません。まずは専門家に相談するのが良いでしょう。

また、機械式駐車場からの平面化は、収容できる車の台数が今より減ることとなります。

埋め戻しによる平面化は、再び機械式駐車場を設置することが難しくなります。将来、駐車場の需要が増えた場合についても視野に入れながら考えましょう。

 

埋め戻しができる場合とできない場合

上記でお話ししましたが、埋め戻しによる平面化ができるかどうかは、まずお住まいのマンションの地質調査を依頼し、埋め戻しをしても土地に問題がないと判断されれば可能です。

埋め戻しによる平面化ができないケースは、屋内にある機械式駐車場の場合や砕石の重さで地盤が耐えられない場合です。

マンションの構造部分に影響が出てしまうと見なされ、埋め戻しによる平面化は難しくなります。

その場合には、もう一つの平面化の手段である鋼製平面化が選ばれています。

ピットの上から鋼製の床板で蓋をする工法なのですが、埋め戻す際の砕石と比べて鋼製の床板の方が軽くて負荷がかかりにくいのが特徴です。

 

そして、機械式駐車場の平面化について、もう一点注意すべき点があります。

自治体によっては、駐車場法に基づき、「駐車場の附置義務」という条例が定められているところもあります。

 

駐車場の附置義務とは?

これは、過去に都心部等で駐車場不足が問題となったことで制定されたもので、大規模な商業施設やマンションを新設する際には、収容できる駐車台数を一定数設けることを義務付けるとした条例で、お住まいのマンションによっては、この附置義務駐車場に当てはまる可能性があります。

機械式駐車場を平面化することで収容できる駐車台数を減らしてしまうと、この附置義務の条例に違反してしまうおそれがあります。

しかし、平面化することで附置義務に違反してしまうと思っていても、最近では車を所有する人が減少している傾向もあることから、国土交通省でも附置義務条例の見直しが図られていて、特例として平面化を認める動きが各自治体で見られています。

まずは機械式駐車場を平面化できるかどうか、お住まいの自治体に附置義務について問い合わせ、調べてみることをおすすめします。

 

最後に

マンションにある機械式駐車場については、マンション管理組合の悩みの種であることが非常に多いと思います。

もし、今の機械式駐車場を撤去し、埋め戻しによる平面化をお考えでしたら、お住まいの自治体に附置義務について問い合わせ、また専門業者に確認して埋め戻しのメリットやデメリットを充分理解したうえで検討しましょう。

そして、マンション住民の多くの方が利用できる駐車場になれば、きっとマンション住民の方々に喜んでもらえるに違いありません。

パーキングドクタープラスでは、マンション駐車場に関する有益な情報をどんどん発信して参ります。ぜひ、その他の記事も読んでみて下さいね。

 

 

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