素人が機械式駐車場の塗装を絶対にできない理由。なぜDIYしてはいけないのか?

 

こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。

近年DIYはTV番組が作られるほど流行しており、新型コロナウイルスの影響で増えた「おうち時間」中に始められた方も多いのではないでしょうか。

DIYの魅力の1つに、費用を安く抑えられるというメリットがあります。

もしかすると、費用削減のために「マンションの機械式駐車場の塗装をDIYでやろう」と考えているマンション管理組合の方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、一般的なDIYで行う塗装とは違い、素人が機械式駐車場の塗装をやってはいけない理由があるのをご存知ですか?

今回は、素人がマンション駐車場の塗装を絶対にできない理由などをまとめてみました。ぜひ、最後までご覧ください。

 

なぜ素人がDIYで機械式駐車場の塗装をしてはいけないのか?

「機械式駐車場の塗装なんてペンキを塗るだけじゃないの?簡単簡単」と思われるかもしれませんが、ただ単にペンキを塗っているのではなく、実は非常に多くの工程があります。
次の表をご覧ください。

 

<機械式駐車場の主な塗装工程>

※上記工程はパーキングドクターの標準的な工程です

塗装工程について詳しく知りたい方は、「機械式駐車場の塗り替えってどんな手順でやるの?日数は?」をぜひご覧ください。

 

この表は機械式駐車場の塗装工程ですが、「ただの塗装になんでこんなに工程があるの?」と驚かれたかもしれません。

専門家ではない人から見れば、言葉の意味、作業がどのような内容になるのか、どのような資材を使うのかなどは想像しにくいのではないでしょうか。

しかし、この作業を適切に行わないと、トラブルの要因となったり、塗装の持ちも変わってしまいます。

その理由について、それぞれ詳しく説明していきたいと思います。

 

理由1:塗装の前準備が不十分だとトラブルが起こるから

塗装を行うにあたって、まず最初に行う「準備工」という作業があります。

これは、駐車場にある全ての車の移動や、周辺の塗料が付いてはならない部分をビニールやテープなどで覆う作業(養生)など、事前にしておく準備のことをいい、後の作業をスムーズに行うための作業です。

この作業を丁寧にやらないと、塗装が大切なお車や、塗料とは関係の無い場所に付いてしまい、利用者とのトラブルになってしまう場合があります。

また、機械式駐車場自体がかなり大きいため、養生に使う資材の量も多いです。

そのため、資材には値段の高いものから安いものまでありますが、どんなに安い資材を使っても費用がかかってしまうため、費用を抑えられることが魅力のDIYには向いていないと言えるでしょう。

 

理由2:ケレン作業は素人には難しいから

塗装をする際に欠かせない作業として、ケレン作業というものがあります。塗装関係者以外の方には聞きなれない言葉なのではないでしょうか。

ケレン作業とは、パレットなど鉄部の汚れや錆、古い塗料を落とし、塗装の効果を最大限に活かせるようにする作業のことです。

また、この作業で表面がザラザラになりますが、これは塗料の付着が良くなるという効果があります。

機械式駐車場に対してケレン作業を行う目的としては、主に

  • 塗料の密着度を高め、塗装を長持ちさせる。

  • 仕上がりを綺麗にする。

この2点です。

塗料の密着度を高めるためには、汚れや錆、死膜とよばれるヒビ割れや膨れのある古い塗装を全て除去しなければなりません。

しかし、素人では除去に対しての最適な方法や適切な力加減がわからないため、やりすぎてキズを付けてしまう可能性や、逆に汚れや錆が取れずに残ったままの可能性もあります。

汚れや錆などが残ったまま塗装した場合、その下でまた錆が発生してしまい塗装が浮いてきてしまいます。

 

また、錆によってパレットに穴が開いていた場合、ケレン作業時にパレットの補修を行います。

上記写真のように、パレットの補修は穴が開いてしまった部分を切り取り、鉄板を溶接します。専門性が高く、素人ではできない作業です。

ですので、ケレン作業はプロであるメンテナンス業者が適切に行う必要があります。

 

理由3:素人には塗装を均一に塗るのが難しいから

基本的に塗料には、紫外線や水分、酸素などで劣化するのを防ぐ効果があり、その性能を発揮するためには、塗料を適切な厚さに塗る必要があります。

それなら、厚く塗れば塗るほどいいと思うかもしれませんが、厚すぎると不具合が生じる恐れがあります。

不具合のケースとしては、

  • 剥離が生じてしまう

  • 歪みのため塗膜に割れが生じる

  • 十分な乾燥ができないことによって割れが生じる

こういったケースが起こる可能性があるので、注意が必要です。

また、塗装に塗りムラがある場合も、せっかく塗装をしても長持ちしません。ですので、メンテナンス業者は塗装後に膜厚測定という作業を行っております。

膜厚とは「乾燥した塗料の膜の厚さ」のことをいい、膜厚測定とは「塗装が均一になっているか、決められた膜厚になっているかを調べる」ことです。

素人とプロの業者とでは、均一に膜厚で塗料を塗る技術力が違いますし、決められた膜厚で塗装できているかなどを判断するのは、専門知識が無いと難しいでしょう。

日本ペイント株式会社より引用)

 

理由4:そもそも業者が扱う塗料と市販の塗料は質が違うから

一般的にホームセンターなどで販売されている塗料は、メンテナンス業者が使うものよりも質は良くないと言われています。

なぜかというと、一般販売の塗料は、業務用の塗料を普通の人が扱いやすいように改良したものを販売しているからです。

一般用は作業性を重視していますが、業務用は性能を重視しています。

例えば、金属を塗装する塗料の場合、業務用は、「錆止め」、「下塗り」、「上塗り」が別々の塗料として分けて販売されています。

しかし、一般用の塗料の場合、初心者でも使いやすいようにこの3種類の塗料が1つにまとめられて販売されています。まとめられている分、効果はやはり業務用には劣ってしまいます。

最近ではホームセンターなどでも業務用の塗料が売っていますが、「錆止め」、「下塗り」、「上塗り」などの別々の塗料を購入する必要があるので、値段的にもDIYには向いていませんよね。

また、その他の例として「2液型塗料」というものがあります。

これは2種類の塗料を混ぜて使う業務用の塗料ですが、比率を間違えたり、一定時間が経ってしまうと効果が発揮されません。

このように、業務用の塗料は素人には扱いが難しく失敗しやすいので、適切に使用には専門的な知識が必要です。

 

理由5:塗ってはいけない場所の判別が素人には難しいから

機械式駐車場の塗装は、ただやみくもに塗ればよいというものではなく、塗装しなればならない場所と塗装してはいけない場所があります。

 

塗装しなければならない場所

「パレット表、裏面」「装置本柱」「駆動軸」「制御盤箱」

 

塗装してはいけない場所

電装関係部品、チェーン類、横行ローラー・横行レール など

大きく分けるとこのようになります。

例えば、チェーンなどの可動部分に塗装してしまった場合、チェーンの動きに支障を きたして事故が起こる可能性があります。また横行用ローラーのレールを塗装してし まうと、滑りが生じて装置が停止してしまう可能性があります。

このように、塗装してはいけない場所に塗装してしまうと、機械式駐車場の動きや安 全性に悪い影響を及ぼしてしまいます。

素人には塗装しなければならない場所と、塗装してはならない場所の判別は難しいた め、安全のためにも手を出さないほうが良いでしょう。

 

理由6:塗装作業中に事故が起こる危険性があるから

機械式駐車場は一見便利な装置ですが、間違った扱い方をすると危険な事故が発生する可能性があります。

国土交通省は、機械式立体駐車場の重大事故の情報を提供しており、それによると平成19年度以降からの現在までの期間で、機械式駐車場に関する重大事故が44件発生しており、そのうち13件が死亡事故となっています。(令和3年3月31日現在)

また、44件のうち26件がマンションの機械式駐車場での事故であり、全体の約6割を占めています。

国土交通省|機械式立体駐車場の事故情報より引用)

 

メンテナンス業者が機械式駐車場の塗装を行うときは、

「人が中に入らないように注意を払う」

「作業中に駐車場を作動させない」

など、安全面に最大限配慮して作業をします。

もしも素人の方がピット内にてDIYで塗装を行っているとき、駐車場の利用者が、塗装作業に気づかずに機械式駐車場の操作をしてしまった場合、作業をしている人が思わぬ怪我をしてしまう恐れや、最悪の場合、命を落としてしまう恐れもあります。

ですので、素人は塗装作業を行わず、普段の機械式駐車場の使い方に至っても、十分な注意が必要です。

 

機械式駐車場に関する事故についてや、機械式駐車場の使い方の注意点などを詳しく知りたい方は「機械式駐車場を使用する際の注意点について」をご覧ください。

 

理由7:そもそも駐車場の利用目的以外で立ち入ってはいけない

公益社団法人 立体駐車場工業会が定める、「機械式駐車場の管理要綱」の中では、こう明記されています。

4.2 取扱者の守るべき事項

h)乗降領域へは、原則として利用者以外は立ち入らせない。

公益社団法人 立体駐車場工業会|機械式駐車場の管理要綱より引用)

ですので、業者以外が塗装目的で立ち入ること自体が本来の利用目的ではなく、ガイドラインから逸脱した行為になりますので、車の乗り降り以外では立ち入らないようにしましょう。

 

まとめ

今回は、素人が機械式駐車場の塗装を絶対にできない理由7つをまとめてご紹介しました。

機械式駐車場の塗装は、専門的な知識や技術が必要なだけでなく、ガイドラインでも機械式駐車場に使用目的以外では立ち入らないことが定められていますので、素人が機械式駐車場の塗装をすることはお勧めできません。

マンション住民とのいらぬトラブル、ケガなどの事故、素人が塗装することにより機械式駐車場の寿命が短くなるなどのリスクも十分にあり得ますので、機械式駐車場の塗装は、信頼できるメンテナンス業者にお願いすると良いでしょう。

パーキングドクタープラスでは、マンション駐車場に関する有益な情報をどんどん発信して参ります。ぜひ、その他の記事も読んでみて下さいね。

 


 

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