マンションの長期修繕計画を立案する時の3つのポイント

 

こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。

あなたが今お住まいのマンションは快適ですか?マンションは、維持管理をしっかりとすれば100年は安心して暮らせる場所になると言われています。

そのためには、修繕計画に沿って傷んだ場所の補修や備品の補充など、長い時間をかけて様々な部分を修繕していかなければなりませんが、できれば出費はなるべく少なく抑えたいものですよね。

しかし、修繕費が普段どんなことに使われているのかをきちんと知っている人は、意外と少ないのではないでしょうか?

今回は、そもそも修繕費がどんなことに使われているかや、長期修繕計画を立てるときのポイント、注意点などについてお話ししていきます。

 

そもそも修繕費って何に使われているの?

修繕費の使い方については、「なんとなくイメージできるけど、具体的にはよく分からないな」という方も多いのではないでしょうか?

マンションによって違いもあるので、全ての項目をお話しするのは難しいですが、ここでは一般的な項目についてお話ししていきます。

まず始めに、修繕費の使い道としては主に「一般修繕」と「大規模修繕」の2種類があります。

 

一般修繕

一般修繕は日常的に発生するもので、

・錠の取り替え 

・軽度なコンクリート欠損の補修 

・駐車禁止看板の取り替え 

・ゴミ置き場脱臭器の取り替え 

・駐車場照明器具の増設

などなど、上記のような比較的小さな補修や消耗品の補充、設置などを行います。

 

大規模修繕

一般的に大規模修繕とは、経年や外的要因によって劣化、不具合が発生した部分に対して修理や取り替えなどを行って、問題無く利用できる状態に回復させることをいいます。

また、工事内容が大規模で工事費も高額、そして工期が長期間かかります。

大規模修繕は大きく分けて「建築系」と「設備系」の2種類があります。

 

<建築系>

建築系の大規模修繕は、

・外壁の塗り替え 

・タイルの補修 

・シーリングの打ち替え

・屋根(屋上)、バルコニー床、開放廊下、階段や床などの防水、修理

などがあります。

 

<設備系>

設備系の大規模修繕は、

・建具(ドア、窓サッシ、網戸、野外鉄骨階段)などの点検、調整、取り替え

・金物類(集合郵便受け、宅配ロッカー、避難ハッチ、室名札)などの取り替え

・給排水(給水管、排水管、給水ポンプ、排水ポンプ)などの補修、取り替え

・機械式駐車場や自転車置き場の補修、建て替え

などがあります。

 

ちなみに、一般修繕と大規模修繕はこれが全てではありません。細かく言うと、まだまだ多くの項目がありますが、マンションによっても異なりますので、ここでは割愛します。

 

修繕費についてのまとめ

修繕費は上記の通り、一般修繕と大規模修繕に分けられており、さらに大規模修繕は建築系と設備系に分けられています。

そして修繕費の使い道は、ほとんどが高額な大規模修繕に使われます。

マンション住民としては、一般修繕の方が目につきやすいので、つい修繕をしてしまい修繕費を使い過ぎてしまう危険があります。修繕費を使い過ぎてしまうと、大規模修繕にも悪影響が出てしまいます。

そんな状態にならないために必要なのが、長期修繕計画です。

 

長期修繕計画の作り方

それでは、長期修繕計画はどのように作れば良いのでしょうか?

長期修繕計画とは、マンションの快適な居住環境を確保し資産価値の維持向上を図るため、一般的に10年~30年程度の期間を対象に立てられる計画のことです。

本来であれば、作成は管理組合の義務なのですが、非常に難しいので素人では作ることはほぼできません。

ですので、基本的には管理会社もしくはマンション管理士に作成をお願いして、提出された長期修繕計画をチェックするということになります。(最近では、作成は管理委託業務とは別とする管理会社もあるので確認が必要です。)

もし、今住んでいるマンションの長期修繕計画がまだ無い場合、すぐに作ってもらいましょう。もし新築のマンションであれば、できれば第一回目の理事会発足のときに作成を求めることが理想です。

 

長期修繕計画は支出項目の把握や定期的な見直しが必要

長期修繕計画が提出されたらそれを基に主な支出項目を把握しましょう。

管理会社が作成した場合、住んでいるマンションの実態と少し異なっている場合があります。

その時は、管理組合から質問や「住民の意見」などを提出し、すり合わせをして双方納得できる長期修繕計画にする必要があります。

また、その中でも特に「機械式駐車場」や「給排水部分」などは、提出された計画とマンション設備のパーツや点検、修繕、交換周期などが合致しているか、入念なチェックが必要です。

 

そして、見直しも必要です。

国土交通省が作成したマンション標準管理規約コメント第32条②の3において、

長期修繕計画の内容については定期的な(おおむね5年程度ごとに)見直しをすることが必要である。

マンション標準管理規約コメント第32条②の3 より一部抜粋

と書かれています。

長期修繕計画は、作ったら終わりではないことを意識しておきましょう。

 

長期修繕計画を立案する時の3つのポイント

良い長期修繕計画を立てるためには、どれだけ大規模修繕にかかる費用を抑えられるか?修繕金をできるだけ積み立てられか?が、非常に大きなポイントとなります。

いざ、その時になって費用不足で苦労しないために、押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

 

その1:特に高額な工事の修繕費を抑える

修繕工事の中でも費用が特に高額になってくるのが、「外壁の塗り替え工事」「給排水管の取り換え工事」「機械式駐車場の入替工事」の3点です。

この3点をいかに抑えるかが、長期修繕費用削減のポイントとなります。

「外壁の塗り替え工事」や「給排水管の取り換え工事」については、業者によって工事の方法や使う部品なども異なります。

もちろん、かかる費用も異なってきますので、複数の業者から相見積もりをとり、納得のいく業者を選ぶのが良いでしょう。

 

機械式駐車場の寿命についてワンポイントアドバイス

機械式駐車場の塗装業者として少しお話しをすると、機械式駐車場においては発生した錆を放置せずに早め早めの再塗装を施すことで、錆による劣化やパレットに穴が開くのを防ぎ、穴を塞ぐための追加費用(鉄板による補修工事)など余計な費用がかからずに済みます。

適切なタイミングで塗装をすることで、キレイを保ち、より永く機械式駐車場を利用していただくことができます。

機械式駐車場の寿命が長くなれば、その分修繕積立金も集まり修繕費用で困る可能性が少なくなります。

機械式駐車場の塗装について、詳しくは【マンション駐車場の錆の発生具合と塗装をするタイミングについて】の記事でお話ししていますので、ぜひご覧ください。

 

その2:複数業者を比較する

修繕工事を依頼する手順としては、マンション管理組合が管理会社に委託し、委託された管理会社が各業者に工事を依頼する、といった形が一般的だと思います。

管理会社に委託することは、工事業者の選定や交渉などの手間がかからなくて済み、何か問題が発生した場合は管理会社に窓口が一本化されているといったメリットがあります。

デメリットとしては、委託する管理会社に対して手数料が発生するので、それを踏まえた修繕積立金の設定が必要となります。

費用的に実施が難しい場合は、マンション管理士に頼んで見積基準を作成し、それをもとに入札を実施する方法もあります。

機械式駐車場に関してはマンション管理士も専門的すぎて判断がつかない場合もあるようですので、メンテナンス業者との対話が重要になってきます。

 

内訳の詳細もチェック

相見積もりが出たら、工事内容の詳細をチェックしましょう。同じ工事内容でも、経費が多く見積もられている場合があります。

特に詳細が分からない場合は注意が必要です。内訳を同条件で比較出来るようにして納得のいく業者を選びましょう。

 

その3:修繕積立金を確認する

長期修繕計画をもとに、必要な費用の算出ができたら次は修繕積立金が不足しないか確認しましょう。大抵の場合、残念ながら不足してしまうことが多いです。

なぜなら、マンション販売業者はできるだけマンションを売れやすくするために、販売時に「ランニングコストはそんなに高くありませんよ」と、購入者の心理的負担が下がるような低い金額に長期修繕積立金を設定することが多いからです。

また、時と共に修繕にかかる部品や人件費などの費用は変動します。

不測の事態に備えて長期修繕計画よりも多めの修繕積立金があるようにしておくと良いでしょう。

マンション理事会で長期修繕積立金をチェックし、工事に必要な予算よりも不足していることが明らかになった場合は、段階的に積立金を引き上げるなどの対策をとる必要があります。

 

最後に

長期修繕計画には、管理会社のひな形そのままといったものや、十分な検討期間もないまま急いで作成され、マンションの現状に即していないものも多くあります。

そんな長期修繕計画では、安心してマンションに住むことはできませんよね。

また、マンション販売業者は売れやすいように修繕積立金を低く設定していることがあります。そのため、大規模修繕時に必要な積立金が足りないといった話をよく聞きます。

そうならないためにも、現状に合った長期修繕計画を立て、適切な修繕費を積み立てておくことが必要です。

修繕がうまくいけば、あなたのマンションはきっと何十年も快適に住むことができます。

ぜひこの記事を参考に、修繕費がどのように使われているか?長期修繕計画は適切なものになっているか?など、確認してみてくださいね。

 

 

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