ブラスト施工とは?機械式駐車場の塗装手順の解説 ケレン編(1)

 

こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。

マンション管理をしていくうえで頭を悩ませている問題。それは、機械式駐車場のメンテナンス・改修費用も含まれるのではないのでしょうか?

機械式駐車場の塗装もその費用の1つです。約5年を目安に塗り替えが必要と言われています。せっかく塗装するなら、錆・腐食などの劣化を抑えて、少しでも綺麗な状態を維持し、駐車場利用者にも長く安全に使用してもらいたいですよね。

機械式駐車場の塗り替えってどんな手順でやるの?日数は?」では、実際の塗装の各工程についてご説明しましたが、再塗装をするための前処理として行う、鉄部の汚れや錆、古い塗料を落とす「ケレン作業」とよばれる作業が、のちの錆の発生を防ぎ、塗装を長持ちさせる効果があり、再塗装の工程の中でもとても重要な工程になります。

そして、機械式駐車場のケレン作業を行う施工方法に「ブラスト施工」と「ワイヤブラシ施工」という施工方法があります。

ワイヤブラシ施工については「マンション駐車場の塗装手順解説 ケレン編(2)ワイヤブラシ施工とは?」で解説していますので、興味のある方は合わせてご覧くいただければ塗装の知識が深まります。

今回は、そのうちの1つであるブラスト施工について詳しく解説します。ブラスト施工とはどんな作業か、メリット・デメリットを分かりやすくお話していくので、ぜひ最後までご覧ください。

 

ブラスト施工とはこんな作業

機械式駐車場の塗り替え時に行う「ケレン作業」では、現場の腐食状態や、錆の深さや大きさなどの状態に応じて、「ワイヤブラシ施工」や「ブラスト施工」など、施工方法を変えて作業をします。

ブラスト施工とは、鉄部の深いところの錆までほぼ完全に除去することができる優れた施工方法です。

ワイヤブラシ施工の方が一般的なケレン方法ではありますが、錆が多く深さがあり、塗装後すぐに錆が浮き出てしまう可能性がある場合などにブラスト施工を行うケースがあります。

ブラスト施工は、ケレン作業の中では最もグレードが高い施工方法であり、バキュームブラストやエアーブラストなどの機械を使い、ケレン作業をします。

 

ブラスト施工は何種類あるの?

ブラスト施工は主に3種類の仕様があります。

 

エアーブラスト

エアーブラストは、圧縮空気の流れに研削材を供給し、ノズルからエアーと研削材を鋼材表面に衝突させることによって錆を削り取る施工方法です。

作業効率も良く様々な場所での適用が可能であり、錆の発生具合の異なる表面でも綺麗に仕上げることができます。

ただし、粉塵などによる周辺環境への対策が必要になります。

 

バキュームブラスト

バキュームブラストは、バキュームヘッドを鋼材表面に押し当て、タンク内の研削材に空気圧を加えて噴射し、錆を削り取る方法です。バキュームヘッドに内蔵されたノズルの内部で施工となります。

ヘッドにはブラストホースとバキュームホースの2本のホースがついており、ブラストホースで研削材を噴射すると共に、バキュームホースで使用した研削材や剥離物を吸引することができます。

ゴミや微細な破片を飛散させることなく、安全かつ衛生的に作業を行えます。さらに、吸引した研削材を機器内にて選別し再利用することもできるので、コストパフォーマンスが良いことが特徴です。

バキュームブラストは様々な現場や環境に対応できるため、幅広く使われており、ブラスト施工では主流な施工方法となります。

 

湿式ブラスト

湿式ブラストは、研削材と水を混合して錆や腐食箇所に噴射してブラスト処理する方法です。

水を使用するので、粉塵の発生を抑えることができるのが特徴です。

ただし、水に対する養生が必要なのと、水を使用するため処理後に戻り錆が発生する可能性があるなどの課題があり、あまり広く普及するに至っていません。

 

 ブラスト施工のメリット

ブラスト施工には、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。
実際に見てみましょう。

 

メリット1:錆や腐食の進行がしにくい

錆の上から塗装してしまうと、塗膜の内側で錆が進行していき、気が付いたら穴が開いてしまっているというケースがあり得ます。

ブラスト施工は、錆をほぼ除去することができるので、腐食が進行しにくく、良好な状態を長期間維持できるので耐久年数を延ばすことができます。

 

メリット2:塗料の密着性をよくする

錆を残したまま塗装をしてしまうと、鋼材に塗料が密着しなくなり、塗膜剥離が生じやすくなります。

ブラスト施工は錆を残さないので、塗料の密着性が良くなります。そのため、塗膜剥離恐れが低減されます。

 

メリット3:外観も綺麗な仕上がりに

ブラスト施工を行うことにより、加工対象物の表面に付いた微細な傷も消え、表面に均等に付けられた微細な凹凸により、塗装のムラも低減され綺麗な仕上がりになります。

 

ブラスト施工のデメリット

一方でブラスト施工のデメリットはどんなものがあるのでしょうか。
こちらも実際に見てみましょう。

 

デメリット1:費用が高い

ブラスト施工は、一般的なケレン作業よりも手間が掛かり、場合によっては工期も長期化してしまうため、一般的な機械式駐車場の塗装費用と比べると概ね2倍程度のコストが掛かってしまいます。

 

デメリット2:騒音が大きい

ブラスト施工では、機械のコンプレッサーが常時稼働するため大きな音が長時間発生します。そのため、周辺への配慮が必要です。

 

デメリット3:ワイヤブラシ施工に比べると工期が長くなる

ワイヤブラシ施工と比較すると、ブラスト施工は準備や作業に多くの時間がかかります。そのため、工期が長くなります。

 

最後に

今回は、機械式駐車場のケレン作業で用いられる「ブラスト施工」という施工方法を解説しました。

ケレン作業が不十分の場合、塗膜の内側で錆が進行してしまう可能性もあるので、ケレン作業は塗装する上で最も重要な作業と言えます。

ケレン作業の中でもブラスト施工は品質も良く、錆や腐食が発生しにくく長持ちし、マンション駐車場の耐久年数を延ばすことができる施工方法です。

もしも、お住まいのマンションの機械式駐車場の塗装を考えているのでしたら、まずは、あなたのマンションの機械式駐車場が現状どうなっているかを調査し、どういった塗装方法で塗り替えるのかを検討する必要があります。

「ブラスト施工」と「ワイヤブラシ施工」どちらでケレン作業を行うかは、素人では判断ができないため、信頼できるメンテナンス業者に相談して、詳しく聞いてみるとよいでしょう。

また、「ワイヤブラシ施工」について詳しく知りたい方は「マンション駐車場の塗装手順解説 ケレン編(2)ワイヤブラシ施工とは?」をご覧ください。

 

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