機械式駐車場の塗り替えってどんな手順でやるの?日数は?

 

こんにちは。
パーキングドクタープラス編集部です。

機械式駐車場の塗り替えは、通常5~7年に1回の周期で行わなくてはならないものです。

とはいえ、機械式駐車場の塗り替えについて詳しく知っている方はあまり多くはないのではないでしょうか。

そこで、今回は

・機械式駐車場の塗り替えはどのような手順で行われて、各工程では何をしているのか?
・すでに穴が開いてしまっている場合は、どのように修繕しているのか?

などなど、1つ1つの工程について実際の写真を使って、分かりやすくお話ししたいと思います。

 

塗り替えに必要な日数について

まずは、塗り替えに必要な日数についてお話しします。

機械式駐車場の塗り替え工事には、機械式駐車場の種類や規模などによっても変わりますが、今回は6台駐車できる機械式駐車場を例にお話ししたいと思います。

6台駐車できる機械式駐車場を塗り替えるには、おおよそ7日間の日数がかかります。

内訳は、
作業日数:5日
車両移動:2日(※作業日前後に1日ずつ、うち1日は予備日としても計算しています)
となります。

車両移動や予備日を除いた実際の作業は、以下の表のように作業を行うケースが一般的です。

塗装工程 作業内容 日程
(1)準備工程 ・駐車区画の車の移動を確認する
・作業区画および周辺を養生する(ビニールシートなど)
1日目
(2)清掃 パレットを清掃する ※場合により水洗い 1日目
(3)ケレン作業 ケレン工具による手ケレンを行い錆をしっかり落とす
※場合によってはブラスト工具なども使用する
1日目
(4)中間検査 ケレンにより基準以上の錆が残っていないか、活膜の端部は平滑になっているかなどを検査する 1日目
(5)錆止め 錆止め剤(素地調整軽減剤)を錆の除去後に塗布する 1日目
(6)下塗り(表) 下塗り用塗料をパレットの表側に塗装する 2日目
(7)上塗り(裏) 上塗り用塗料を上部パレットの裏側に塗装する 2日目
(8)乾燥 塗装した部分をしっかり乾燥させる 2日目
(9)膜厚測定 膜厚計を使い、塗装が均一になっているか?塗装が決められた厚さになっているか?などをチェックする 3日目
(10)上塗り(表) 上塗り塗料をパレットの表側に塗装する 4日目
5日目
(11)乾燥 塗装した部分をしっかり乾燥させる 5日目
(12)完成検査 独立した検査部が完成検査を行い、問題なければ養生を撤去する 5日目

※上記工程はパーキングドクターの標準的な工程です

それでは、次に機械式駐車場の塗り替えで作業する各工程をお話しします。

 

塗り替え時の各工程について

※上記工程はパーキングドクターの標準的な工程です

機械式駐車場を塗り替える際は、基本的に上記の工程で行います。また、オレンジ色の工程は基本的に外壁塗装では行わない工程です。

しかし、表を見ても少し想像しにくい工程もあると思いますので、写真を使って各工程を簡単にお話ししますね。

 

(1)準備工

まず、塗り替え作業をするための下準備を行います。
この工程では、塗り替え詐病をする駐車区画にある車を、全て移動したか確認を行います。

また、周辺へキズや汚れが発生しないために、ビニールシートなどを使って、養生作業も行います。

 

(2)清掃(場合により水洗い)

続いて、機械式駐車場の清掃を行います。
基本的には掃き掃除をするケースが多いですが、汚れの状態によっては高圧洗浄機を使うこともあります。

この後のケレン作業や塗装作業が円滑にできるよう、しっかりと行います。

 

(3)ケレン作業

続いての手順は「ケレン作業」です。

ケレンとは、塗装をする前に鉄部の汚れや錆、古い塗料を落とす作業のことです。また、ケレンをすることでわざと表面をザラザラさせて、塗料の付着を良くする効果もあります。(なので、ケレン後の写真は全体的に見た目がちょっと汚く見えます)

ケレン作業は、主に職人がワイヤーカップ(別名カップワイヤ、カップブラシ)やディスクサンダー、サンドペーパーなど、研磨する工具を使用して行います。

 

<錆が進行し、パレットに穴が開いてしまった場合は?>

上記写真のように、錆の進行によって鉄が腐食し、パレットに穴(孔とも言います)が開いてしまうケースがよくあります。

このような場合は、大至急で補修をしないと穴が広がり、利用者の方が踏み抜いてケガをしてしまったり、タイヤが落ちてしまう可能性があります。

また、穴が開いていると錆汁が機械式駐車場の階下の車に滴り落ちている可能性もあります。恒常的に滴り落ちた錆汁は、洗車では落ちなくなってしまうので、トラブルの元にもなってしまいます。

もし、あなたのマンションの機械式駐車場でこのような状態になっている場合は、早急に対策を取った方が良いでしょう。

錆によってパレットに穴が開いてしまった場合には、ケレン作業時にパレットの補修を行います。

上記写真のように、パレットの補修は穴が開いてしまった部分を切り取り、鉄板を溶接します。

余談ですが、パレットの補修には追加費用が必要となります。

機械式駐車場の美観を保つためにも、また余分な出費を極力減らすためにも、適切な時期に塗装を行いたいですね。

 

(4)中間検査

ケレン作業が終わると、作業主任者による中間検査を行います。

ここまで行ってきたケレン作業が、適切に行われたかを検査します。

・錆の取り残しがないか?
・活膜(錆びていなくて生きている旧塗膜)の端部が平滑に削られているか?

などを検査し、問題がない場合は次の錆止め剤の塗布へと進みます。

 

(5)錆止め剤の塗布

中間検査に問題がなければ、ケレンした部分に錆止め剤を塗ります。

錆止め剤を塗ることで、ケレンで取り切れなかった微細な錆があった場合にも、無効化して新たに錆が発生しないようにします。

 

<錆止め剤とは>

錆止め剤とは、防錆剤、塗布形素地調整軽減剤とも言われている塗料です。

おおまかに錆止め剤の作用についてお話しすると、錆止め剤を塗ると錆止め剤の成分が錆層に浸透し、錆の発生元となる水分と反応し湿気を除去。

また、空気に触れないよう膜を張り、錆が新たに発生することを防ぎます。

錆止め剤はケレン後に使われるだけでなく、ケレンができないボルト部分や溶接部分、ケレンができないような環境的に制約がある場合などにも使われる塗料です。

 

必要な部分に錆止め剤を塗り、次の下塗りへと移ります。
ここまでの作業が1日目の作業となります。

 

(6)下塗り(表)

下塗り(表)から2日目の作業となります。
パレットの表部分に下塗り剤を塗っていきます。

下塗りは目に見えない部分ですが、実は重要な工程です。

今回お話ししている工程は、「錆止め・下塗り・上塗り」ですが、場合によっては「下塗り・中塗り・上塗り」となる場合もあるかと思います。

「○○塗り」となっているので、同じ塗料を複数回塗ると思う方も時々いますが、実は下塗り、上塗りで違う塗料を使います。(中塗りも専用の塗料がありますが、上塗りと同じ塗料の場合があります)

 

<下塗りの目的>

下塗りの主な目的は

・上塗りする塗料の付着性を高めること
・細かい凹凸などを平らにすること
・塗膜の厚みを確保して、耐久性を確保する

などです。

下塗りには、上塗りと目的が違うため性能が違う塗料を使います。

 

また、この下塗りを行わずに上塗りを行うと、

・塗装がはがれやすくなったり
・塗料を素地が吸い込んでしまい仕上がりにムラができてしまったり
・細かな凹凸がそのまま残り美観を損ねたり

などが起こる可能性があります。

 

(7)上塗り(裏)

下塗りが終了したら、次は上塗り塗料をパレット裏面に塗ります。

 

<上塗りの目的>

上塗りは塗装の一番表面の部分です。

なので、上塗りは美観を保つだけではなく、上塗り塗料によって機械式駐車場を錆の発生、タイヤによる摩耗などから守ります。また、上塗り塗料によって汚れもつきにくく、落としやすくなります。

上塗りにはコストや効果の面から、ウレタン系塗料やエポキシ系塗料が主に使われています。

 

(8)乾燥

次の工程は乾燥です。

上塗り剤の塗布を終えた段階で、一度塗装部分を乾燥させる必要があります。
乾燥は丸1日かけてしっかりと乾燥させます。

乾燥の工程は、この後の上塗り後にもありますが、機械式駐車場を塗装する季節や天候、使用する塗料などによっても乾燥させる時間は変わります。

乾燥の時間をしっかりととることで、塗料の性能が十分に発揮されます。

※塗料が完全硬化するまでは多くの時間がかかります。ここでいう乾燥とは次工程を進める事ができる半硬化です。ここまで乾燥すれば歩いても足跡がつきません。

ここまでが2日目の工程となります。

 

(9)膜厚測定

次の工程は膜厚測定です。

膜厚測定は、塗装が均一になっているか、決められた膜厚になっているかを、膜厚計という機械を使って測定します。

膜厚計は車の塗装チェックにも使われている塗装の厚さを測る測定機器です。膜厚計の先端にあるセンサーを押し当てて膜厚を測ります。

 

(10)上塗り(表)

次は、まだ上塗りをしていない表部分に上塗り塗料を塗ります。

表部分の上塗りは、4日目・5日目に行います。

基本的に裏部分の上塗りと変わりませんが、表部分は機械式駐車場の中でも劣化しやすい部分なので、ムラが出ないよう、均一に塗っていきます。

 

(11)乾燥

表部分の上塗りを終えたら、また乾燥させます。

 

(12)完成検査

作業工程の最後に行うのが、完成検査です。
パーキングドクターでは、完成検査にあわせて検査部門の検査員が検査を行います。

完成検査では、

・塗装がスケていないか?
・ムラが発生していないか?
・膜厚が基準を満たしているか?

などを検査します。

また、膜厚計を1パレットに4箇所当てて、平均して膜厚があることを確認します。

上記の検査が問題ない場合、養生を撤去し、駐車場への入庫が可能となります。

 

最後に

ここまで機械式駐車場の塗装手順や、実際にかかる日数についてお話しました。

今回は6台の機械式駐車場を例にしてお話ししましたが、台数が多かったり、複雑な構造のものは工期がもっとかかります。

また、穴が開いてしまっているパレットを塗装するのは、補修する必要があるため時間も追加費用もかかります。

もし2~3年で塗装が剥がれ始めてしまったら、それは以前の塗装が適切に行われていなかった可能性があります。一度、セカンドオピニオン的に別の業者に機械式駐車場を見てもらうことをオススメします。

パーキングドクタープラスでは、機械式駐車場の塗装やメンテナンスに関する情報をどんどん発信していきます。

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